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『8月14日』のお話

山本伸一青年と、戸田城聖との出会いのお話。

≪山本伸一≫  先生、正しい人生とは、―― 
正しい人生とは、いったい、どういう人生をいうのでしょうか?
≪戸田城聖≫  さあ、これは、難問中の難問だな.
この質問に答えられる人は、いまの時代には誰もいないと思う。
しかし、僕には答えることができる。

P1010491_1.jpg

≪ナレーション≫ それでは、寸劇人間革命のコーナーを行います。

ただし、登場人物の年齢などに、ちょっと無理がありますが、そこは何とかよろしくお願いします。

時は、昭和22年西暦1947年8月14日。
東京は墨田区・蒲田で行われている、座談会の会場であります。
当時、創価学会の理事長であった、戸田城聖先生を囲んでの座談会の真っ最中であります。

≪戸田城聖≫ (戸田先生役ということですので、よろしくお願いします)

今日の立正安国論の講義はここまでにしておこう。
ほんの数行でもすごい仏法哲学の真髄です。
個人であれ、一家であれ、一国であれ、この仏法哲学ですべて解決するのです。

私はこの世から一切の不幸と悲惨を無くしたいのです。
そしてこれを広宣流布というのです。

≪同級生≫   戸田先生、私の小学校の同級生の「山本伸一」さんを、お連れしました。   
山本さんは、私と同じ読書グループのメンバーで、文学書や哲学書をたくさん読んでいる人です。

≪戸田城聖≫  ほう、、 そんなに後ろの方でなくて、前に出てきて座りなさい。
山本君は、いくつになったね。??

≪山本伸一≫ 19歳です。

≪戸田城聖≫  そうか、もうすぐ二十歳(はたち)だね。
僕は二十歳の時に東京に出てきた。
北海道からはじめて東京に出てきて、まるっきり、おのぼりさん。
ずいぶん参ったもんだよ。はっはっはっはっは~。 
 山本君、なかなか元気なようだが、体はどうかね。

≪山本伸一≫  少し悪いんです、 ゴホッ ゴホッ   胸が少しやられているんです。

≪戸田城聖≫ 肺病か? 心配ないよ。
僕もひどかったんだ。
片肺は、まったく駄目だったんだが、いつか治ってしまっていた。
焼き鳥でも、「きりたんぽ」でもどんどん食べて、疲れた時はのんきに、寝てるんだね。
大丈夫だ!。
信心すれば、必ずなおるよ。


≪山本伸一≫  先生,教えていただきたいことがあるのですが、、、、

≪戸田城聖≫  何かね、 何でも 聞いてあげるよ。

≪山本伸一≫  先生、正しい人生とは、―― 
正しい人生とは、いったい、どういう人生をいうのでしょうか?
考えれば考えるほど、わからなくなるのです。

≪戸田城聖≫  さあ、これは、難問中の難問だな.
この質問に答えられる人は、いまの時代には誰もいないと思う。
しかし、僕には答えることができる。
なぜならば、僕は福運あって、日蓮大聖人の仏法を、いささかでも、身で読むことができたからです。
人間、生きるためには生死の問題を、どう解決したらいいか。
根本的な悩みです。
これが正しく解決されなければ真の正しい人生なんかあるはずありません。

いつまでも、十九.二十歳の娘でいたい、年は絶対にとりたくないと、いくら思ったって、あっという間に、ウメボシ おばあさんになってしまう。
私は、病気は絶対にごめんだといったって、生身の体だもの、どうしようもない。
それから最後に、必ず死ぬということ。--これは厳しい。

つきつめて考えてもわからないから、厭世的(えんせいてき)になるか、刹那的(せつなてき)になるか、
ただあきらめて人生を送るしかないのか、、
ところが、日蓮大聖人は、この人生の難問題、すなわち生命の本質を、ものの見事に解決してくださっているのです。
しかも、だれでも、どんな人でも、必ずそのような解決の境涯にいけるように、具体的に実践の仕方を、教えてくださっている。
これほどの大哲学が、いったいどこにありますか?

正しい人生とは何ぞや、と考えるのも良い。
しかし考える暇に、大聖人の哲学を実践してごらんなさい。
青年じゃありませんか。
必ずいつか、自然に自分が正しい人生を歩んでいることを、いやでも発見するでしょう。


≪山本伸一≫  もうひとつ、よろしいでしょうか。
本当の愛国者とは、どうゆう人でしょうか?

≪戸田城聖≫  それは簡単だ、吉田松陰も愛国者でしょう。
乃木大将も愛国者でしょう。
坂本竜馬だって、「野田そうり」、だって、もしかすれば愛国者かもしれません。
しかし本当の愛国者があるとすれば、この妙法を実践する、私たち創価学会員こそが真実の愛国者です。
その理由は、日蓮大聖人の仏法を実践する、私たち学会員こそが一人の人間を救いきり、真実の幸福な社会を築くことができるからです。
それだけの力が、大聖人の仏法、南無妙法蓮華経には、たしかにあるのです。


≪山本伸一≫  その南無妙法蓮華経とは、どうゆうことなんでしょうか?

≪戸田城聖≫  一言にしていえば、人間や草木にいたるまでの一切の宇宙の現象は、みな妙法蓮華経の活動なのです。
だから、あらゆる人間の運命・宿命さえも、転換しうる力をそなえているのです。
難しく言えば、法本尊即人本尊で、人法一箇のこの御本尊様こそ南無妙法蓮華経の実体といえるのです。
話せといえば、一晩中でも、いくらでも話してあげたいが、山本君も少し勉強して、任用試験に合格してからに、しようじゃないか。

≪山本伸一≫  先生ありがとうございました。
青年らしく勉強し、実践してごらんと、おっしゃったことを信じて、
先生のもとで、勉強させていただきます。
いま感謝の気持ちを詩にたくして、詠(よ)ませていただきたいと思います。
下手な、即興詩(そっきょうし)で、もうしわけないですが、、


旅びとよ
いずこより来(きた)り
いずこへ往(ゆ)かんとするか

月は沈みぬ
日いまだ昇らず
夜明けの前の混沌(カオス)に
光もとめて
われ進みゆく

心の暗雲をはらわんと
嵐に動かぬ大樹(たいじゅ)を求めて
われ地より湧(わ)き出(い)でんとするか


≪ナレーション≫
こうして山本伸一青年は、入信の決意をし、8月24日に入会したのであります。

本日は、小説「人間革命」第2巻・地湧 の章から、戸田先生と池田先生の、運命的な出会いの場面を、旭日地区の オール スター キャストでお送りいたしました。

以上で寸劇人間革命のコーナーを終わります。 




最後まで、読んでいただき本当にありがとうございます。

寸劇人間革命を、これからも、よろしくお願いします。

座談会寸劇の基本的なスタイルが、この寸劇です。

この寸劇人間革命の分量は、おおよそ、20文字×160行です。

08_ph02.jpg

実際に座談会でこの寸劇をやってみようと、思われた方は、続きを、ご覧ください。

原稿印刷用に空白行のない テキストデータ。
寸劇のやり方のアドバイスなどを準備しました。


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『7月3日』のお話-2-・(ショートバージョン)

僕は、青年として戦った。
青年らしく、貧しき人々の家々を訪ね、窓辺に勇気の花を咲かせ、心の暖炉に希望の火を赤々と灯した。
太陽の輝きを仰ぎ、北斗の星を仰(あお)いで、僕は駈(か)けずり回った。
友の額に流れる汗に励まされ、その汗を、断じて勝利の栄光の汗にするために僕は祈った。
そして、僕は、邪悪な権力の魔手(ましゅ)に牢獄の捕(とら)われの身となった。
しかし、師とともに戦いぬいた真実の声は、無実の罪の証(あかし)となって現れた。

僕は、忘れない。
あの日のことを。
僕は、詠(よ)んだ。


出獄と 入獄の日に 師弟あり 
 
七月の 三日忘れじ 富士仰ぐ
 

P1010735_1.jpg
2012年6月に公開したものを少し修正しました

≪ナレーション≫ それでは寸劇のコーナーです。

本日の寸劇は、創価学会の原点である、7月3日の、お話であります。

 時は昭和32年西暦1957年7月3日。

その日の朝まで、山本伸一は夕張炭労事件の解決のために北海道にいた。
しかし大阪府警から出頭命令が、出ていたのです。
プロペラ機が、大阪便.乗り換えのため、羽田空港に到着です。

≪戸田城聖≫ おお、伸一 ……

≪山本伸一≫ 先生。札幌大会と夕張大会は、大成功です。学会の大勝利です。

≪戸田城聖≫ ご苦労、ご苦労、昨夜、電話で聞いたよ、
伸一、征(い)ってきなさい!

われわれがやろうとしている、日蓮大聖人の仏法を広宣流布する戦いというのは、現実社会での格闘なのだ。
現実の社会に根を張れば張るほど、難は競い起こってくる。
それ自体が仏法の真実の 証明であり、避けることなど断じてできない。

どんな難がきそいおころうが、われわれは戦う以外にないのだ。
また、大きな苦難が待ちかまえているが、伸一、征ってきなさい!

≪山本伸一≫ はい、征ってまいります。 
 それより、、先生、お体の具合は、、、

≪戸田城聖≫  心配なのは君の体だ、、、
絶対に死ぬな。死んではならんぞ。

伸一、もしも、もしも、おまえが死ぬようなことになったら、
私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒(いっしょ)に死ぬからな。

≪ナレーション≫ 電撃が、伸一の五体を貫(つらぬ)いた。
伸一は答える言葉を失った。

伸一は、あふれ出そうになる涙を、じっと、こらえたのであります。
妻の峯子は、着替え類を詰めてきたカバンを渡し、無言のまま、伸一を見た。

≪山本伸一≫   ありがとう。大丈夫だ。心配ない。あとはよろしく頼む。

≪ナレーション≫ 大阪府警に出頭した伸一は、この7月3日の夕刻、午後7時、身に覚えのない公職選挙法違反の容疑で、不当逮捕された。

7月3日といえば、12年前の、1945年、昭和20年、軍部政府の弾圧によって投獄されていた戸田城聖が、中野の豊玉刑務所を、出獄した日である。

なんたる不思議か、その同じ日の、ほぼ同じ時刻に、伸一は逮捕されたのであります。


伸一への取調べは過酷であった。
検事二人がかりで、夕食もなしに、深夜まで尋問(じんもん)が続くこともあった。
まるでさらし者にするかのように、手錠をかけたまま、大阪地検の本館と別館との間を、行ったり、来たり、させたこともあったのであります。


≪戸田城聖≫ なんてことだ。ただちに手錠をはずさせろ。
すぐに伸一を釈放させろ!
いいか、学会をつぶすことが狙(ねらい)なら、この戸田を逮捕しろと、検事につたえてくれ。
かわいい弟子が捕まって、牢獄(ろうごく)に入れられているのを、黙って見すごすことなど、だんじてできぬ。
戸田は逃げも隠れもせんぞ。

(向き直って)

君たちを叱(しか)りつけてすまんな。
しかし牢獄というものは、入った者でないとわからんのだ。
いま伸一は、その中で、必死になって戦っているんだよ。


≪山本伸一≫ 体をこわし、衰弱しきった戸田先生が逮捕されれば、命を縮めることは間違いない。
絶対に、絶対に、先生を逮捕などさせてなるものか!
戸田先生あっての私の人生である。
いかなることがあっても、私は先生をお護りするのだ。

では、検事の言うままに真実を捨てて、嘘をつくのか。
学会の正義はどうなるのか。
それでは、自らの手で愛する学会を汚(よご)すことに、なりはしないのか……

≪ナレーション≫ いかりに胸はうずき、悔し涙があふれ、髪の毛をかきむしり、、、深い苦悩が、夜通し伸一をさいなんだのであります。
悩み抜いた果てに、伸一の心は決まった。


≪山本伸一≫ ……私が罪を背負いさえすれば、一切は収まる。
たとえ無実の罪に 問われようと、戸田先生のためなら、学会のためなら、それでよいではないか。

≪ナレーション≫ そして、7月17日、伸一は大阪拘置所を出たのであります。

≪山本伸一≫  先生!

≪戸田城聖≫  おお、、伸一 …よかった よかった

≪山本伸一≫  先生、大変にご心配をおかけしました。申し訳ございません。

≪戸田城聖≫  それより、体は大丈夫か

≪山本伸一≫  はい、大丈夫です。負けません。

先生の出獄の日に、私は、牢に入ったのですから。

≪戸田城聖≫  伸一君、戦いはこれからだよ。
御本尊は、すべてわかっていらっしゃる。

勝負は、裁判だ。裁判長は、必ずわかるはずだ。
裁判長に真実をわかってもらえれば、それでいいじゃないか。


≪ナレーション≫ のちに池田先生は、7月3日を、次のように綴(つづ)っています。

(青年部朗読)* 僕は、青年として戦った。青年らしく、貧しき人々の家々を訪ね、窓辺に勇気の花を咲かせ、心の暖炉に希望の火を赤々と灯した。
太陽の輝きを仰ぎ、北斗の星を仰(あお)いで、僕は駈(か)けずり回った。
友の額に流れる汗に励まされ、その汗を、断じて勝利の栄光の汗にするために僕は祈った。
そして、僕は、邪悪な権力の魔手(ましゅ)に牢獄の捕(とら)われの身となった。
しかし、師とともに戦いぬいた真実の声は、無実の罪の証(あかし)となって現れた。

僕は、忘れない。
あの日のことを。
僕は、詠(よ)んだ。


出獄と 入獄の日に 師弟あり 
 
七月の 三日忘れじ 富士仰ぐ
 
 

≪ナレーション≫  この「大阪事件」の裁判が、4年半後に無実を勝ち取った、その、いきさつについては、またの寸劇に、こう、ご期待であります。


そして、7月3日が、あらゆる権力から人権を守り、人間の尊厳と自由と平等とを勝ち取ることの原点となり、世界の平和と、文化を創造する創価学会インターナショナル運動へと発展していったことは、皆様ご存知のとおりです。

本日は『小説・人間革命』第11巻「大阪」の章、
更に『小説・新人間革命』第17巻「民衆城」の章から『7月3日』のお話を、
旭日地区のオールスターキャストでおおくりいたしました。

以上で寸劇のコーナーを終わります。


*学生部結成16周年に寄せて民衆凱歌へ不借の転教より引用



最後まで読んでくださってありがとうございます。
長いバージョンも作りましたが、今日はショートバージョンを紹介しました。
今後ともよろしくお願いします。

この寸劇の分量は、おおよそ20文字×160行です。
原稿印刷用に空白行の少ないテキストデータを準備しました。
ぜひご活用ください。

テーマ: 二次創作 | ジャンル: 小説・文学

『7月3日の、お話』-1-・ロングバージョン

心配なのは君の体だ。絶対に死ぬな。死んではならんぞ。
伸一、もしも、もしも、おまえが死ぬようなことになったら、
私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒に死ぬからな。

勝負は、裁判だ。裁判長は、必ずわかるはずだ。
裁判長に真実をわかってもらえれば、それでいいじゃないか。

出獄と 入獄の日に 師弟あり 
七月の 三日忘れじ 富士仰ぐ 

P1010617_2.jpg
2012年6月に公開したものに手直し修正をしました。


≪ナレーション≫ それでは寸劇のコーナーです。

時は昭和32年西暦1957年6月30日、大阪府警の刑事2人が、突然、山本伸一の自宅を訪れます。

≪刑事≫ ご主人は、おられますか。
大阪府警まで、任意で、ご同行ねがいたい。

≪峯子≫ 主人は、出張中で札幌に行っており、不在でございます。

≪刑事≫ さ、札幌ですか。うーん、、、

≪ナレーション≫ ただちに、学会本部に電話連絡が入ります。

≪峯子≫ 先生、いま、大阪府警の刑事が、来たところです。
かくかくしかじか……

≪戸田城聖≫ よしわかった。
伸一には、こちらから連絡を入れておく。

よいか、何も心配するでないぞ。

≪ナレーション≫ 刑事が、札幌の旅館にやってきました。
しかし 山本伸一は、すでに夕張の地を、かけめぐっていたのです。

≪関久男≫ (おだやかに)大阪府警に出頭せよというのですね。
わかりました。

しかし今は、ムリです。
ダメですよ。少しまって、ください。

≪刑事≫   うーん、、それは困ります。

出頭命令がこの通り出ているのですから、、、
(大声で) 逮捕状も、とろうと思えば、すぐに出るんですよ。

≪関久男≫ (厳しい声で)何を言うんです、君たちは!!
山本伸一は、逃げも隠れもしません。

明日は札幌で、明後日は夕張で、それぞれ炭鉱労働組合の問題で、非常に大事な会合があるのです。
それが終わるまで、待ちなさい。
私が、山本伸一の身柄については、間違いなく保証します。

≪刑事≫ うーん、、、すると、3日、。7月3日ならよいのですね。

≪関久男≫ そのとおりです 
 
≪刑事≫ 間違いありませんね 
 
≪関久男≫ 間違いない

≪ナレーション≫ そうです。地区の皆さん、すでに、お分かりのとおり、 本日の寸劇は、創価学会の原点である、7月3日の、お話であります。


 時は昭和32年西暦1957年7月3日。

その日の朝まで、山本伸一は夕張炭労事件の解決のために北海道にいた。

プロペラ機が、大阪便.乗り換えのため、羽田に到着です。

≪山本伸一≫ 先生。ただいま戻りました。

≪戸田城聖≫ おお、伸一 ……

≪山本伸一≫ 札幌大会と夕張大会は、大成功です。学会の大勝利です。

≪戸田城聖≫ ご苦労、ご苦労、昨夜、電話で聞いたよ、

伸一、征(い)ってきなさい!

われわれがやろうとしている、日蓮大聖人の仏法を広宣流布する戦いというのは、現実社会での格闘なのだ。

現実の社会に根を張れば張るほど、難は競い起こってくる。
それ自体が仏法の真実の 証明であり、避けることなど断じてできない。

どんな難がきそいおころうが、われわれは戦う以外にないのだ。

また、大きな苦難が待ちかまえているが、伸一、征ってきなさい!

≪山本伸一≫ はい、征ってまいります。
  それより、、先生、お体の具合は、、、

≪戸田城聖≫ うん、、、 
  
≪ナレーション≫ めっきりやつれた、師の姿を見ると、胸がえぐられる思いがした。
しかし……


≪戸田城聖≫  心配なのは君の体だ、、、

絶対に死ぬな。死んではならんぞ。

伸一、もしも、もしも、おまえが死ぬようなことになったら、
私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒に死ぬからな。

≪ナレーション≫ 電撃が、伸一の五体を貫いた。
伸一は答える言葉を失った。

伸一は、あふれ出そうになる涙を、じっと、こらえたのであります。

戸田は一冊の本を、伸一に渡した。
それは、出版されたばかりの、戸田城聖による。「小説・人間革命」であった。

≪戸田城聖≫   いよいよ出たよ。あとで読んでくれ。

≪ナレーション≫ 著者の戸田は、照れたように笑った。
伸一の頬(ほお)もゆるんだ。

妻の峯子は、着替え類を詰めてきたカバンを渡し、無言のまま、伸一を見た。

≪山本伸一≫   ありがとう。大丈夫だ。心配ない。
あとはよろしく頼む。

≪ナレーション≫ 出発のため、ロビーに出ると、大勢の同志の姿があった。

≪山本伸一≫   ありがとう。これがあるから大丈夫だよ。

≪ナレーション≫ 伸一は、戸田の「人間革命」をかざして、挨拶をかえした。

≪文京婦人部≫   山本室長、文京支部の人に、このことを、どう話せばよいのでしょうか。

何かご伝言を!

≪山本伸一≫    夜明けが来た,,,日本の夜明けが来た!そう、わが同志にお伝えください。

≪ナレーション≫  権力の魔性を打ち砕き、敢然と乗りこえていくならば、真実の民衆の時代が、必ず到来する。
ゆえに伸一は、「夜明けが来た。」と答えたのであります。

大阪府警に出頭した伸一は、この7月3日の夕刻、身に覚えのない公職選挙法違反の容疑で、不当逮捕された。
7月3日といえば、12年前の、1945年昭和20年、軍部政府の弾圧によって投獄されていた戸田城聖が、中野の豊玉刑務所を、出獄した日である。

なんたる不思議か、その同じ日の、ほぼ同じ時刻に、伸一は逮捕されたのであります。

伸一への取調べは過酷であった。

検事二人がかりで、夕食もなしに、深夜まで尋問が続くこともあった。
まるでさらし者にするかのように、手錠をかけたまま、大阪地検の本館と別館との間を、行ったり、来たり、させたこともあったのであります。

≪戸田城聖≫ なんてことだ。
ただちに手錠をはずさせろ。
すぐに伸一を釈放させろ!

いいか、学会をつぶすことが狙い(ねらい)なら、この戸田を逮捕しろと、検事につたえてくれ。
かわいい弟子が捕まって、牢獄に入れられているのを、黙って見すごすことなどだんじてできぬ。
戸田は逃げも隠れもせんぞ。

(向き直って)
君たちを叱りつけてすまんな。
しかし牢獄というものは、入った者でないとわからんのだ。
いま伸一は、その中で、必死になって戦っているんだよ。

≪山本伸一≫ 体をこわし、衰弱しきった戸田先生が逮捕されれば、命を縮めることは間違いない。
絶対に、絶対に、先生を逮捕などさせてなるものか!

戸田先生あっての私の人生である。
いかなることがあっても、私は先生をお護りするのだ。

では、検事の言うままに真実を捨てて、嘘をつくのか。
学会の正義はどうなるのか。
それでは、自らの手で愛する学会を汚(けがす)ことに、なりはしないのか……

≪ナレーション≫ いかりに胸はうずき、悔し涙があふれ、髪の毛をかきむしり、、、深い苦悩が、夜通し伸一をさいなんだのであります。

悩み抜いた果てに、伸一の心は決まった。

≪山本伸一≫ ……私が罪を背負いさえすれば、一切は収まる。
たとえ無実の罪に 問われようと、戸田先生のためなら、学会のためなら、それでよいではないか。


≪ナレーション≫ そして、7月17日、伸一は大阪拘置所を出たのであります。


≪山本伸一≫  先生!

≪戸田城聖≫  おお、、伸一 ……よかった よかった

≪山本伸一≫  先生、大変にご心配をおかけしました。申し訳ございません。

≪戸田城聖≫  それより、体は大丈夫か

≪山本伸一≫  はい、大丈夫です。負けません。
先生の出獄の日に、私は、牢に入ったのですから。

≪戸田城聖≫  伸一君、戦いはこれからだよ。

御本尊様は、すべてわかっていらっしゃる。

勝負は、裁判だ。裁判長は、必ずわかるはずだ。
裁判長に真実をわかってもらえれば、それでいいじゃないか。

≪ナレーション≫ のちに山本伸一は、自身が逮捕された7月3日を、次のように綴(つづ)っています。

(学生部結成16周年に寄せて民衆凱歌へ不借の転教より)

(青年部朗読)

僕は、青年として戦った。
青年らしく、貧しき人々の家々を訪ね、窓辺に勇気の花を咲かせ、心の暖炉に希望の火を赤々と灯した。
太陽の輝きを仰ぎ、北斗の星を仰(あお)いで、僕は駈(か)けずり回った。
友の額に流れる汗に励まされ、その汗を、断じて勝利の栄光の汗にするために僕は祈った。

そして、僕は、邪悪な権力の魔手に牢獄の捕(とら)われの身となった。

しかし、師とともに戦いぬいた真実の声は、無実の罪の証(あかし)となって現れた。

僕は、忘れない。あの日のことを。僕は、詠(よ)んだ。


出獄と 入獄の日に 師弟あり 
 
七月の 三日忘れじ 富士仰ぐ 

 
≪ナレーション≫  この大阪事件の裁判が、4年半後に無実を勝ち取った、その、いきさつについては、またの寸劇に、こう、ご期待であります。

そして、7月3日が、あらゆる権力から人権を守り、人間の尊厳と自由と平等とを勝ち取ることの原点となり、世界の平和と、文化を創造する創価学会インターナショナル運動へと発展していったことは、皆様ご存知のとおりです。

本日は『小説・人間革命』第11巻「大阪」の章、
更に『小説・新人間革命』第17巻「民衆城」の章から『7月3日』のお話を、
旭日地区のオールスターキャストでおおくりいたしました。

以上で寸劇のコーナーを終わります。


長い「寸劇人間革命」を最後まで読んでいただきありがとうございます。
「7月3日」のロングバージョンになります。

この寸劇人間革命の分量は、おおよそ20文字×240行です。
教学試験の勉強会の合間に、青年部から上演してもらったこともあります。

この寸劇の最初のところ、≪刑事≫とのやり取りを残したまま、短く作り直したものも準備しました。
分量は、20文字×155行ほどです。
こちらも、是非、ご活用ください。


テーマ: 二次創作 | ジャンル: 小説・文学

7月17日・かき氷のお話

 いい加減に認めたらどうだね。逮捕された者たちは、皆、君の指示でやったといっているんだよ。

 それならば、その人たちに会わせてください。そうすれば、それが嘘であることが明白になると、私は何度もいっているではありませんか。あなたたちは、私に嘘の供述をしろと、いっていることになります。
していないことを、認めるわけにはいきません。

 嘘をいえ、などといっているわけじゃない。認めるべきものは、早く認めた方がいいといっているだけだよ。君がそういう姿勢を崩さなければ、どういう事態になるか考えてみたまえ。私たちとしては、君が勤めている大東商工と学会本部を手入れし、そして、戸田会長を引っ張らなくてはならないことになる。

 なんですって。大東商工とこの事件とどういう関係があるんですか。それに、学会本部も戸田先生も、この事件には関係ないではありませんか。

 さあ、どうかね。それは、直接戸田会長に聞いてみないことにはね。


SBSH1484_3.jpg



≪ナレーションA≫ 
それでは寸劇人間革命のコーナーです。
毎日暑い日が、続いております。
ところで池田先生のお宅では、毎年、7月17日に「かき氷」を食べるのが伝統になっておるそうです。

「アイスクリームなら、毎日食べている」という方もいると思いますが、なぜ池田家では毎年7月17日に「かき氷」を食べるのでありましょうか?
本日は「7月17日・かき氷のお話」であります。

≪ナレーションB≫ 
時は昭和32年西暦1957年7月3日。
大阪府警に出頭するために、北海道から羽田空港に立ち寄った山本伸一に戸田先生が語りかけます。

≪戸田城聖≫ おお、伸一 ……
どんな難がきそいおころうが、われわれは戦う以外にないのだ。
大きな苦難が待ちかまえているが、伸一、征ってきなさい!

≪山本伸一≫ はい、征ってまいります。
それより、先生、お体の具合は……   

≪戸田城聖≫ 心配なのは君の体だ、……絶対に死ぬな。死んではならんぞ。
伸一、もしも、もしも、おまえが死ぬようなことになったら、私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒に死ぬからな。

≪ナレーションB≫ 電撃(でんげき)が、伸一の五体を貫(つらぬ)いた。伸一は答える言葉を失った。
伸一は、あふれ出そうになる涙を、じっと、こらえたのであります。

≪ナレーションA≫ 大阪府警に出頭した伸一は、この7月3日の夕刻、身に覚えのない公職選挙法違反の容疑で、不当逮捕された。
7月3日といえば、12年前の、1945年・昭和20年、軍部政府の弾圧によって投獄されていた戸田城聖が、中野の豊玉刑務所を、出獄した日である。

何たる不思議か、その同じ日の、ほぼ同じ時刻に、伸一は逮捕されたのであります。

≪ナレーションB≫ 伸一への取調べは過酷(かこく)であった。
検事二人がかりで、夕食もなしに、深夜まで尋問(じんもん)が続くこともあった。
まるで「さらし者」にするかのように、手錠をかけたまま、大阪地検の本館と別館との間を、行ったり、来たり、させたこともあったのであります。

≪戸田城聖≫ なんてことだ。ただちに手錠をはずさせろ。すぐに伸一を釈放させろ!
いいか、学会をつぶすことが狙い(ねらい)なら、この戸田を逮捕しろと、検事につたえてくれ。

かわいい弟子が捕まって、牢獄に入れられているのを、黙って見すごすことなどだんじてできぬ。
戸田は逃げも隠れもせんぞ。

(向き直って)君たちを叱(しか)りつけてすまんな。しかし牢獄というものは、入った者でないとわからんのだ。
いま伸一は、その中で、必死になって戦っているんだよ。

≪ナレーションB≫ 山本伸一はいかなる仕打ちにも、決して動じなかった。検事たちは業(ごう)を煮(に)やしていたのであります。

≪検事≫ いい加減に認めたらどうだね。
逮捕された者たちは、皆、君の指示でやったといっているんだよ。

≪山本伸一≫ それならば、その人たちに会わせてください。そうすれば、それが嘘(うそ)であることが明白になると、私は何度もいっているではありませんか。
あなたたちは、私に「嘘の供述(きょうじつ)をしろ。」と、いっていることになります。
していないことを、認めるわけにはいきません。

≪検事≫ 嘘をいえ、などといっているわけじゃない。認めるべきものは、早く認めた方がいいといっているだけだよ。
君がそういう姿勢を崩(くず)さなければ、どういう事態になるか考えてみたまえ。

私たちとしては、君が勤(つと)めている大東商工と学会本部を手入れし、そして、戸田会長を引っ張らなくてはならないことになる。

≪山本伸一≫ なんですって。大東商工とこの事件とどういう関係があるんですか。
それに、学会本部も戸田先生も、この事件には関係ないではありませんか。

≪検事≫ さあ、どうかね。それは、直接戸田会長に聞いてみないことにはね。
……もしもし、ああっ、私だよ。すぐに大東商工の手入れの準備をしてくれ。
それから、一切の帳簿を提出するようにいうんだ。大至急だ。

≪ナレーションB≫ 検事は、これだけいうと、電話を切った。そして、山本伸一を脅迫(きょうはく)するように言ったのであります。

≪検事≫ 私はやるといったら、かならずやる。なめていると、とんでもないことになるぞ。

≪ナレーションB≫ この検事の言葉は伸一の胸に突き刺さった。このときから、彼の獄中での煩悶(はんもん)が始まったのであります。

≪山本伸一≫ 体をこわし、衰弱しきった戸田先生が逮捕されれば、命を縮めることは間違いない。
絶対に、絶対に、先生を逮捕などさせてなるものか!
戸田先生あっての私の人生である。いかなることがあっても、私は先生をお護りするのだ。

では、検事の言うままに真実を捨てて、嘘をつくのか。学会の正義はどうなるのか。
それでは、自らの手で愛する学会を汚(よごす)ことに、なりはしないのか……

≪ナレーションB≫ いかりに胸はうずき、悔(くや)し涙があふれた。
髪の毛をかきむしり、独房の壁に何度も頭をぶつけた。
深い苦悩が、夜通し伸一をさいなんだのであります。

悩み抜いた果てに、伸一の心は決まった。

≪山本伸一≫ ……私が罪を背負(せお)いさえすれば、一切は収(おさ)まる。
たとえ無実の罪に問われようと、戸田先生のためなら、学会のためなら、それでよいではないか。

≪ナレーションB≫ そして、不当逮捕から2週間目の7月17日。伸一は大阪拘置所を出たのであります。

≪山本伸一≫ 先生、大変にご心配をおかけしました。申し訳ございません。

≪戸田城聖≫ それより、体は大丈夫か

≪山本伸一≫ はい、大丈夫です。負けません。
先生の出獄の日に、私は、牢に入ったのですから。

≪戸田城聖≫ 伸一君、戦いはこれからだよ。
御本尊は、すべてわかっていらっしゃる。

勝負は、裁判だ。裁判長は、必ずわかるはずだ。
裁判長に真実をわかってもらえれば、それでいいじゃないか。


≪ナレーションB≫ 戸田は、伸一をはじめ幹部たちに「かき氷」を取り寄せて振る舞った。
冷たい氷を口にしたとき、伸一には、その真心が痛いほどしみたのであります。

≪ナレーションA≫ その日の午後6時。大阪大会が開催(かいさい)されたのであります。
会場となった中之島公会堂には、たくさんの人びとが集まってきた。
場内は満員となり、あふれた会員は公会堂前の広場を埋め尽(つ)くした。

……山本参謀室長が、何をしたというのだ!
民衆の幸せを願い、社会のために行動してきた学会の、どこがいけないというのだ!

にわかに空が暗くなり、雨が降り始めたかと思うと、またたく間に激しい豪雨となり、横なぐりの風が吹き荒れた。
稲妻が黒雲を引き裂き、雷鳴(らいめい)が轟(とどろ)いた。

激しい雷雨にさらされながらも、場外を埋めた人びとは、誰ひとり立ち去ろうとするものは、いなかった。
ずぶ濡れになりながら、全身を耳にして、スピーカーから流れる声を聴き取ろうとしていたのであります。

≪山本伸一≫ このたびは、たいへんながい間、ご心配をおかけしましたが、本日正午に大御本尊様の加護を受けながら、元気いっぱいで、このように出所してまいりました。ありがとうございました。

最後は、信心しきったものが、大御本尊様を受持しきったものが、また、正しい仏法が、かならず勝つという信念でやろうではありませんか。

≪ナレーションB≫ この大阪事件の裁判が、4年半後に無実を勝ち取った、その、いきさつについては、またの寸劇人間革命に、こう、ご期待であります。

≪ナレーションA≫ 本日は『小説・人間革命』第11巻「大阪」の章などより、「7.3」そして「7月17日・かき氷のお話」を、黎明地区のオールスターキャストでおおくりいたしました。

以上で寸劇人間革命のコーナーを終わります。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

≪ナレーションA≫≪ナレーションB≫は、一人の方が、両方を読んでもかまわないと思います。
≪検事≫の役は、背景の状況などに詳しい方から読んでもらえればと、思います。 

この寸劇人間革命の分量は、おおよそ20文字×185行です。
印刷用に空白行の少ないテキストデータを準備しましたので、ぜひご活用ください。


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テーマ: 二次創作:小説 | ジャンル: 小説・文学

かき氷のお話

そうなると、警察も出てきて、ピストルぐらい発砲するかもしれない。
そのときは、私が先頭に立って乗り込めばよい。
もともと悪いのは向こうなんだし、私は決して恐れませんよ。
もしも、そんな大騒動が起こったとしたら、私はいったい、どのくらい入ればいいのかね。

 うーん。双方ともに負傷者もでる。
すると、戸田会長は、十年か十五年は、入ることになるのではないでしょうか。

そりゃ、かなわん。
しかし、事と次第によっては決行しようかと考えていたのです。
まあ、投獄された時は、差し入れだけは、してくれるように、皆に頼んでおきましたがね。
はぁはぁはぁ。


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≪ナレーションA≫ 池田先生のお宅では、毎年、7月17日に「かき氷」を食べるのが伝統になっておるそうです。「アイスクリームなら、毎日食べている」という方もいると思いますが、なぜ「かき氷」なのでありましょうか?
本日は「7月17日・かき氷のお話」であります。

≪ナレーションB≫ 時は昭和32年1957年7月3日。大阪府警に出頭する山本伸一に、戸田先生が語りかけます。
 
≪戸田城聖≫ 心配なのは君の体だ、・・・絶対に死ぬな。死んではならんぞ。
伸一、もしも、もしも、おまえが死ぬようなことになったら、私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒に死ぬからな。

≪ナレーションB≫ 伸一は答える言葉を失った。伸一は、あふれ出そうになる涙を、じっと、こらえたのであります。
伸一への取調べは過酷(かこく)であった。

ついには、罪を認めなければ、戸田会長を逮捕するとまで迫ったのであります。

≪山本伸一≫ 私が罪を背負(せお)いさえすれば、一切は収(おさ)まる。たとえ無実の罪に問われようと、戸田先生のためなら、学会のためなら、それでよいではないか。

≪ナレーションB≫ そして、不当逮捕から2週間目の7月17日。伸一は大阪拘置所を出たのであります。

≪戸田城聖≫ おお、伸一、体は大丈夫か

≪山本伸一≫ はい、大丈夫です。負けません。
先生の出獄の日に、私は、牢に入ったのですから。

≪戸田城聖≫ 伸一君、戦いはこれからだよ。
御本尊は、すべてわかっていらっしゃる。
勝負は、裁判だ。裁判長は、必ずわかるはずだ。
裁判長に真実をわかってもらえれば、それでいいじゃないか。

≪ナレーションB≫ 戸田は、関西本部に集まった皆に、「かき氷」を取り寄せて振る舞ったのであります。

≪戸田城聖≫ 弁護士さん、伸一はどうなりますか。

≪弁護士≫ かなり証言もそろっているようですから、切り崩(くず)すのは、決して容易ではないでしょうな。

≪戸田城聖≫ 有罪だとしたら、どのくらい入ることになりますか。

≪弁護士≫ さあ、ちょっと、あの、その、それは、まあ、最低六ヶ月は、覚悟したほうがよいでしょう。

≪戸田城聖≫ ほう、泣く子と検察(けんさつ)には勝てぬというわけですな。裁判は執念と忍耐を必要としますから、辛抱(しんぼう)強く戦ってください。

≪ナレーションB≫ 戸田は一瞬、むっとした表情になったが、すぐに笑いを浮かべて、思いもかけぬことを言い出した。

≪戸田城聖≫ 今だからいうが、じつは今日、伸一が釈放にならなかったら、この大阪で全国大会を開こうと思っていたのです。そしたら支部長たちが、是非とも大々的な集会にしてほしいといってきた。
そうなれば、何十万人も、この大阪に集まってきたでしょう。
ムシロ旗を立てて抗議集会をし、それから検察庁にデモ行進して、どっと押しかけようというわけですよ。

≪弁護士≫ うーん、それはたいへんな騒動になる。

≪戸田城聖≫ そうなると、警察も出てきて、ピストルぐらい発砲するかもしれない。
そのときは、私が先頭に立って乗り込めばよい。もともと悪いのは向こうなんだし、私は決して恐れませんよ。
もしも、そんな大騒動が起こったとしたら、私はいったい、どのくらい入ればいいのかね。

≪弁護士≫ うーん。双方ともに負傷者もでる。すると、戸田会長は、十年か十五年は、入ることになるのではないでしょうか。

≪戸田城聖≫ はぁはぁはぁ、そりゃ、かなわん。しかし、事と次第によっては決行しようかと考えていたのです。
まあ、投獄された時は、差し入れだけは、してくれるように、皆に頼んでおきましたがね。
はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ。

≪ナレーションB≫ 山本伸一は、自分のために、命を捨てて戦おうとした戸田城聖の決心を知り、深い感動を覚えた。 
冷たい「かき氷」を口にしたとき、伸一には、その真心が痛いほどしみたのであります。

≪ナレーションB≫ こうして戦いの舞台は、裁判となりました。第2回目の公判は、翌年の3月6日。
そうです。あの3月16日の直前であります。

≪戸田城聖≫ おお、そうだったな。

≪山本伸一≫ 大切な戦いのさなかに不在になってしまい、まことに申し訳ありません。

≪戸田城聖≫ 伸一、疲れているな。体の方は大丈夫か。

≪山本伸一≫ 先生、私は大丈夫です。先生こそ、ご無理をなさっているだけに・・・

≪戸田城聖≫ 君の戦いは、ながいのだ。代われるものなら、私が代わってやりたい。
伸一・・・、君は罪を一身に背負おうとした。ほんとうに人の良い男だな。でも、だからこそ安心だな、学会も。
裁判は容易ならざる戦いになるだろう。いつまでも君を悩ませることになるかもしれぬ。
しかし、最後は勝つ。

金(きん)は金だ。いくら泥にまみれさせようとも、その輝きは失せるものか。
真実はかならず明らかになる。悠々と、堂々と、男らしく戦うんだ。

≪ナレーションA≫ この大阪事件の裁判が、4年後に無実を勝ち取った、その、いきさつにつきましては、またの寸劇人間革命に、こう、ご期待であります。

 本日は『小説・人間革命』第11巻「大阪」の章などより、「7月17日・かき氷のお話」を、黎明地区の、オールスターキャストでおおくりいたしました。

以上で寸劇人間革命のコーナーを終わります




この寸劇人間革命を、最後まで読んでいただきありがとうございます。

原作では、1)幹部たちに、かき氷を振る舞う。2)会長室に友人弁護士小沢らと入る。3)弁護士たちとの、対話。となっています。
「かき氷」のお話を、強調するために、原作の構成をいじっています。いじりすぎと、思われた方には、お詫びいたします。
昭和33年1958年3月5日の部分は、人間革命第11巻「裁判」の章からの引用です。

この寸劇人間革命の分量は、おおよそ、20文字×130行です。

原稿印刷用に、空白行の少ないテキストデータを準備しました。
ぜひ、ご活用ください。


2013年7月に掲載した「7月17日・かき氷のお話」の再構成です。
その寸劇人間革命を読んでみたい方は、ここをクリック してください。




テーマ: 二次創作 | ジャンル: 小説・文学

四月二日のお話


嗚呼、四月二日。
四月二日は、学会にとって、私の生涯にとって、弟子一同にとって、永遠の歴史の日になった。

妙法の大英雄、広布の偉人たる先生の人生は、これで幕となる。

しかし、先生の残せる、分身の生命は、第二部の、広宣流布の決戦の幕を、いよいよ開くのだ。

われは立つ!


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≪ナレーションA≫ 本日の寸劇人間革命は、四月二日のお話であります。

≪戸田幾枝(いくえ)≫ 家に帰らせてください。主人も、それがいちばん、落ち着けるはずです。

≪戸田喬一(きょういち)≫ いや、ぼくは入院させるべきだと思うな。家では十分な治療はできないんだから。

≪山本伸一≫ 奥様のお気持ちもよくわかりますが、私も、この際、先生には入院していただいた方がよいと思います。
先生のご容態は、楽観を許しません。ひとまず入院ということに、なされてはいかがでしょうか。

≪ナレーションA≫ 翌日、伸一は、N大学病院に木田医師を訪ねます。

≪山本伸一≫ もう少し、よい病室はありませんでしょうか。

≪木田医師≫ それが、あいにくすべて、ふさがっておりまして、ようやく、ここを確保したような次第なんです。別の病室が空いたら、すぐに移すようにしますから、ご了承ください。

≪山本伸一≫ わかりました。治療の方は、どうか全力をあげて、最高、最善を尽くしてください。

≪ナレーションA≫ こう言うと、伸一は深々と頭を下げた。
夕刻、総本山に着くと、木田医師は、ただちに戸田の診察・検査を開始したのであります。

≪山本伸一≫ 戸田先生は、「総登山が終わったら、本部に帰る」と何度も言っていた。先生に聞いたら「本部に帰る」と言うにちがいない。

広宣流布という大事業に一身を、なげうってきた先生にとって、その大事業の中枢である学会本部こそ、先生が魂魄(こんぱく)をとどめるに、ふさわしい最後の場所であるはずだ。
師の意志のままに、事を進めるのが、弟子の責務ではないのか。

私は、途方もなく大きな過ちを、犯してしまったのではないか。

≪ナレーションA≫ 木田医師は、一度おさめた聴診器を再び取り出した。そして熟慮の末に、伸一に告げたのであります。

≪木田医師≫ 戸田先生を、寝かせたままの状態で、東京まで移送することができるように、準備を整えてください。

≪ナレーションA≫ 伸一は、直ちに手配を開始したのであります。
すべての手配が整った夜、側近幹部が伸一の体を気遣(きづか)い、すこしでも横になるように勧めた。

≪山本伸一≫ ありがとう。ぼくのことなら大丈夫だ。ここで先生をお守りしようと思う。

≪ナレーションA≫ 総登山の最後の支部も下山し、参道を歩く人影は途絶えていた。夜は、人びとの憂色(ゆうしょく)を包んで、静かに、ゆっくりと、更(ふ)けていった。
伸一は、あの、「五丈原(ごじょうげん)」の歌を、思い起こしたのであります。

今(いま)落葉(らくよう)の雨の音
大樹(たいじゅ)ひとたび倒れなば
漢室(かんしつ)の運(うん)はたいかに
丞相(じょうしょう)病(やまい)あつかりき
丞相病あつかりき

≪山本伸一≫ 今、先生の病は篤(あつ)く、広宣流布の大樹は倒れようとしている。先生を失ってしまったら、学会は、これから、どうなるのか……

≪ナレーションB≫ 時刻は、午前二時になった。
つまり、昭和三十三年、一九五八年、四月一日、午前二時であります。

≪山本伸一≫ 先生、出発いたします。私が、お供いたします。

≪ナレーションB≫ 戸田は、静かにうなずいた。皆で布団(ふとん)を持ち上げた。戸田が、「メガネ、メガネ、……」とつぶやいた。

伸一は両手がふさがっているので、すぐに、メガネを手渡すことが、できない。伸一には、それが心残りだった。

ヘッドライトを連ねて、戸田を乗せた大型の車は、静寂(せいじゃく)な、夜道を、ゆっくりと走っていった。
開き始めた桜の花が、夜の春霞(はるがすみ)のなかに浮かぶ……。

突然、戸田の車がとまった。
伸一は、後続の車から降りて、駆(か)け寄った。

≪山本伸一≫ どうしましたか?

≪ナレーションB≫ 戸田は、ぐったりとしている。
医師は聴診器を当て、それから注射を打った。
医師の顔は険(けわ)しい。

ほどなく、車は、走り出した。また、止まった。
そのたびに、伸一は、駆け降りて、祈るような思いで、様子を見守った。
駅までの道のりが、限りなく遠く、遠く、長く、感じられたのであります。

午前四時。駅に到着した。しばらく待ち時間がある。
やがて、闇のなかに光が走り、寝台列車がやって来た。
懐中電灯をかざして、車中の青年に、合図を送った。
戸田を車内に運び終わると、列車は、すぐに発車した。

≪山本伸一≫ 先生、これで安心です。

≪ナレーションB≫ 「そうか……」こう言って、戸田は、微笑(びしょう)を浮かべた。その微笑が、伸一の心に焼きついた。

午前七時。東京駅に着いた。寝台自動車に戸田を運び、N大学病院へ向かった。病室は女子部員らの手によって、きれいに清掃され、ソファーにはレースがかけられ、カーテンも新しくなり、花も生けられていた。
木田医師をはじめとする医師団が、直ちに診療に取りかかったのであります。

伸一は、病院を出て、そのまま会社に向かった。身も心も疲れきっているはずなのに、頭は妙に冴(さ)えていた。
仕事の書類に眼を通したが、何をしても身が入らない。
春の晴れた、暖かな一日である。しかし、彼の心は、暗雲に覆(おお)われていた。

胸のなかは、荒れ狂う大海のようであった。

≪ナレーションC≫ 翌、四月二日、午後。病院から明るい連絡が入った。

≪秘書部長・泉田ため≫ 今朝、病院へ伺(うかが)うと、先生は、上半身をベットの上に起こしてもらって、おられました。
思いのほか、お元気そうでしたので、私もほっといたしました。

≪ナレーションC≫ 伸一はうれしかった。病状は好転し始めたのだ。
これまでの暗く、重い予感が消えていくのを感じたのであります。

この日、夕刻五時から、連合会議が、学会本部で開かれた。翌日に迫った、本部幹部会などの検討が終わったころであった。
管理人が、ドアを開けた。皆、はっとした表情で伸一を見た。

≪管理人≫ 山本室長。病院からお電話です。先生のご子息(しそく)の喬一さんからです。

≪ナレーションC≫ 伸一は、受話器をとった。落ち着いた語調ではあったが、懸命に感情を抑えているのがわかった。

≪戸田喬一≫ ただ今、父が亡くなりました……

≪ナレーションC≫ その瞬間、伸一の息が止まった。筆舌に尽くせぬ衝撃が五体に走った。体から血の気が引き、頭のなかが白く霞(かす)んでいくのを覚えた。

伸一が戻ると、一同は緊張した顔で、彼に視線を注いだ。伸一の悲痛な表情から、誰もが、最悪の事態に、いたった、ことを直感したようであった。

≪山本伸一≫ 先生は、先ほど、六時三十分に亡くなられました。

≪ナレーションC≫ 皆、一瞬にして顔色を失った。言葉を発する人は、いなかった。ただ沈黙のなかに、誰もが深い悲哀をかみしめていた。その場は、直ちに重大会議となったのであります。

その夜、戸田城聖の亡骸は、彼の自宅に移された。
艶(つや)やかな、眠るがごとき相をしていたが、もの言わぬ人となっての帰宅であった。

≪戸田幾枝≫ あなた。ご苦労様でした……。
家ですよ。ゆっくり、お休みになってくださいね。

≪ナレーションC≫ 首脳幹部たちは、読経・唱題を終えると、すぐに協議に入った。
葬儀の日程などが決定された。
本部幹部会の、式次第も再検討された。
打ち合わせが終わったのは、深夜の十一時を回っていた。

弟子たちにとって、永遠に忘れ得ぬ日となった四月二日は、間もなく終わろうとしていた。
誰もが、今日の、この日が、あまりにも長く、何日にも、何ヶ月にも感じられたのであります。

≪ナレーションA≫ 伸一が自宅に着いた時には、はや午前、零時を回っていた。彼は、師との永久(とわ)の別れとなった、この四月二日という日の、無量の思いを、どうしても日記に書き残しておきたかった。

しかし、数行つづると、ペンを持つ手は止まった。あふれ出る涙が点々とノートをぬらした。
自身の億念(おくねん)は、筆舌に尽くしがたいことを知らねばならなかった。

「立て、立ち上がれ。強くなるのだ、伸一!」

伸一は、自らを叱咤(しった)すると、拳(こぶし)で涙をぬぐい、決然と顔をあげた。
胸に誓いの火が、赤々と燃え上がろうとしていた。
伸一は、唇(くちびつ)をかみしめると、ペンを走らせた。

≪山本伸一≫ 嗚呼(ああ)、四月二日。
四月二日は、学会にとって、私の生涯にとって、弟子一同にとって、永遠の歴史の日になった。

……妙法の大英雄、広布の偉人たる先生の人生は、これで幕となる。
しかし、先生の残せる、分身の生命は、第二部の、広宣流布の決戦の幕を、いよいよ開くのだ。
われは立つ!

≪ナレーションA≫ こう記(しる)した時、伸一の胸中に、戸田の微笑が浮かんだのであります。

本日は、小説人間革命第12巻寂光の章より、「四月二日のお話」を、黎明地区の、オールスターキャストでお送りいたしました。

以上で、寸劇人間革命のコーナーを終わります。




この寸劇人間革命を最後まで読んでいただきありがとうございます。

この寸劇に登場する「木田医師」は以前に掲載した、2つの寸劇に登場します。

その寸劇人間革命を読んでみたい方は、ここをクリック してください

もう一つの寸劇人間革命を読んでみたい方は、ここをクリック してください



この寸劇人間革命は、「星落秋風五丈原」の歌が登場します。
この歌にまつわる寸劇を以前に掲載しました。
その寸劇人間革命を読んでみたい方は、ここをクリック してください

そこには、いろんな資料を、たくさん準備しています。

YOUTUBEにこの歌があります。
SGIメンバーの歌。必見です。
ここをクリック 
2006年10月12日、第64回本部幹部会、第31回SGI総会、東京牧口記念会館。池田SGI会長が、SGI秋季研修会で来日した65カ国・地域の代表260人らと出席。ハービー・ハンコック氏、ウェイン・ショーター氏らアメリカSGI芸術部を中心とした「平和のための国際芸術家委員会」(ICAP)が祝賀演奏。

この寸劇人間革命の分量は、おおよそ、20文字×215行です。

原稿印刷用に空白行の少ないテキストデータを準備しました。

前半部分を省略したショート版(20文字×115行)も、準備しました。


有意義な座談会に、ご活用ください




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8月24日のお話し


 先生…
 なんだね?
 先生、今度、三島さんが理事長になると、私の師匠は三島さんになるんでしょうか?
 いや、それは違う!苦労ばかりかけてしまう師匠だが、君の師匠は、このぼくだよ。

 僕の生涯の師匠は、先生なんだ。先生なんだ。
 これでいいんだ。これでよし。

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≪ナレーション≫ 時は昭和25年、1950年8月。戸田の経営する 東光建設信用組合に対し、大蔵省から業務停止命令が出たのです。
すると、直後に、新聞記者が取材に訪れたのであります。

≪新聞記者≫ いやいや、おたくの信用組合、大変ですね。同情します。ところで、被害総額と言ってはなんですが、負債額はどのくらいになりますかね。

≪山本伸一≫ 相当の額にはなると思いますが、なにしろ昨日の今日のことなので、正確なところは、社長の戸田でなければ分かりません。

≪新聞記者≫ まあ、だいたい、おおよそのところで、けっこうですから。

≪山本伸一≫ 新聞の報道は正確さが命じゃないですか

≪新聞記者≫ ええ、そうなんですけど、締め切り時間が、迫ってましてね。

≪山本伸一≫ 正確な情報に基づいての報道であれば、それは構いません。しかし、いい加減な報道をされては、困ります。

≪新聞記者≫ そうです、そうです。私も社会正義の新聞記者を自認しておりますから、ご安心ください。けっしていい加減な報道は、いたしませんから、ご協力お願いできませんでしょうか?

≪山本伸一≫ ところで、おたくはずいぶん早かったですね。

≪新聞記者≫ そこはもう、まあいろいろあるわけですよ。かくかく、しかじか、

≪山本伸一≫ ほう、すごい。すごい。

≪新聞記者≫ まあ、それほどでもハッハッハッ、かくかく、しかじか。
あっ、しまった。

≪ナレーション≫ 記者は、自慢話しをしているうちに締切時間を過ぎてしまったのでした。

≪新聞記者≫ 山本さん、今日のところはしかたがないが、社長さんに会って、詳しい話しを伺いたいんですが、どうでしょう。

≪山本伸一≫ 分かりました。私が責任を持って、社長の戸田に連絡します。ここでは、なんですから、明日喫茶店でお会いしましょう。


≪ナレーション≫ さて、お話しは、翌日の喫茶店へと、続きます。

≪戸田城聖≫ これが、すべての帳簿です。どうぞ、好きなだけ御覧になってください。

≪新聞記者≫ うーん、ウーン。なるほど、この債権を回収できさえすれば、なんとかなりますね。

≪山本伸一≫ そうです。確実に回収できる自信もあるのです。ただ時間がかかるんです。

≪新聞記者≫ それはそうでしょうね。

≪山本伸一≫ ですから、今、新聞で報道されてしまいますと、混乱が生じて、多くのお客様に迷惑をかけてしまいます。

≪戸田城聖≫ 要するに、私どもを生かすも殺すも、全てあなたしだいです。あとは、好きなようにしてください。

≪新聞記者≫ 特ダネなんだけど、ウーン、弱ったなあ。

≪ナレーション≫ 沈黙が続いた。記者は、冷たくなったコーヒーを口にした。
戸田は、悠然(ゆうぜん)とタバコをふかしている。
伸一は祈るような気持ちで2人を見つめたのであります。

≪新聞記者≫ よし、わかりました。今回は記事にしません。残念だがしかたない。


≪ナレーション≫ 記者が帰った後、2人は語りあったのであります。

≪戸田城聖≫ 今の時代は、新聞というものがすごい力を持っているな。創価学会もいつか新聞を持たなくては、ならないな。伸、よく考えておいてくれ。

≪山本伸一≫ はい。わかりました。


≪ナレーション≫ この師弟の対話のなかから、聖教新聞が生まれたことは皆様御存知のとおりです。
さてお話しは、その日の夜に続きます。

≪戸田城聖≫ 今日は皆に聞いてもらいたいことがある。じつは今日、私の経営する信用組合が、業務停止になった。諸君には全く関係の無い事だが、私はこのやっかいな問題に専念するために、創価学会の理事長を辞任することにした。後任には三島君にやってもらいます。
私は理事長を辞めるわけだが、信心を止めるわけでは絶対ない。深く心に期するところがあります。今まで以上に広宣流布のために邁進する決意は断じて変わりません。この点に不信を抱き広宣流布の歩みを緩める事のないようして頂きたい。

≪ナレーション≫ 突然の発表に、集まったメンバーは不安が隠せません。
山本伸一はひとり、戸田のところに向かったのであります。

≪戸田城聖≫ なんだ。どうした。

≪山本伸一≫ 先生…

≪戸田城聖≫ なんだね?

≪山本伸一≫ 先生、今度、三島さんが理事長になると、私の師匠は三島さんになるんでしょうか?

≪戸田城聖≫ いや、それは違う!苦労ばかりかけてしまう師匠だが、君の師匠は、このぼくだよ。

≪ナレーション≫ 山本伸一は、その答えを、全生命で聞きたかったのです。
熱い感動が全身を貫き通したのであります。

≪戸田城聖≫ 伸、どうした?

≪山本伸一≫ いや、いいんです。先生、今日は、ありがとうございました。お休みなさい。

≪ナレーション≫ 山本伸一は、学会本部を勢い良く飛びだした。

≪山本伸一≫ これでいい。会社が潰(つぶ)れようと、先生が理事長をやめようと、先生と自分との一線が狂わないならば、何が起きようと、かまったことではない。

未来、生涯、いかなる苦難が打ち続くとも、この師に学んだ栄誉を、最高、最大の、幸福とする。
僕の生涯の師匠は、先生なんだ。先生なんだ。
これでいいんだ。これでよし。

≪ナレーション≫ 時に昭和25年、1950年8月24日、山本伸一、22歳、入会ちょうど3年目のその日であります。

本日は、小説人間革命第4巻 『怒濤(どとう)』の章より8月24日のお話しを黎明地区のオールスターキャストでお送りいたしました。

以上で寸劇人間革命のコーナを終わります。



この寸劇人間革命を最後まで読んでいただきありがとうございます。

この寸劇人間革命の分量は、おおよそ、20文字×135行です。


この寸劇人間革命の続きのところは、以前に作成しています。

その寸劇人間革命を読んでみたい方は、ここをクリック してください




原稿印刷用に、空白行の少ないテキストデータを準備しました。
楽しく、有意義な座談会に、是非ご活用ください。

テーマ: 二次創作 | ジャンル: 小説・文学

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