『7月3日』のお話-2-・(ショートバージョン)

僕は、青年として戦った。
青年らしく、貧しき人々の家々を訪ね、窓辺に勇気の花を咲かせ、心の暖炉に希望の火を赤々と灯した。
太陽の輝きを仰ぎ、北斗の星を仰(あお)いで、僕は駈(か)けずり回った。
友の額に流れる汗に励まされ、その汗を、断じて勝利の栄光の汗にするために僕は祈った。
そして、僕は、邪悪な権力の魔手(ましゅ)に牢獄の捕(とら)われの身となった。
しかし、師とともに戦いぬいた真実の声は、無実の罪の証(あかし)となって現れた。

僕は、忘れない。
あの日のことを。
僕は、詠(よ)んだ。


出獄と 入獄の日に 師弟あり 
 
七月の 三日忘れじ 富士仰ぐ
 

P1010735_1.jpg
2012年6月に公開したものを少し修正しました

≪ナレーション≫ それでは寸劇のコーナーです。

本日の寸劇は、創価学会の原点である、7月3日の、お話であります。

 時は昭和32年西暦1957年7月3日。

その日の朝まで、山本伸一は夕張炭労事件の解決のために北海道にいた。
しかし大阪府警から出頭命令が、出ていたのです。
プロペラ機が、大阪便.乗り換えのため、羽田空港に到着です。

≪戸田城聖≫ おお、伸一 ……

≪山本伸一≫ 先生。札幌大会と夕張大会は、大成功です。学会の大勝利です。

≪戸田城聖≫ ご苦労、ご苦労、昨夜、電話で聞いたよ、
伸一、征(い)ってきなさい!

われわれがやろうとしている、日蓮大聖人の仏法を広宣流布する戦いというのは、現実社会での格闘なのだ。
現実の社会に根を張れば張るほど、難は競い起こってくる。
それ自体が仏法の真実の 証明であり、避けることなど断じてできない。

どんな難がきそいおころうが、われわれは戦う以外にないのだ。
また、大きな苦難が待ちかまえているが、伸一、征ってきなさい!

≪山本伸一≫ はい、征ってまいります。 
 それより、、先生、お体の具合は、、、

≪戸田城聖≫  心配なのは君の体だ、、、
絶対に死ぬな。死んではならんぞ。

伸一、もしも、もしも、おまえが死ぬようなことになったら、
私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒(いっしょ)に死ぬからな。

≪ナレーション≫ 電撃が、伸一の五体を貫(つらぬ)いた。
伸一は答える言葉を失った。

伸一は、あふれ出そうになる涙を、じっと、こらえたのであります。
妻の峯子は、着替え類を詰めてきたカバンを渡し、無言のまま、伸一を見た。

≪山本伸一≫   ありがとう。大丈夫だ。心配ない。あとはよろしく頼む。

≪ナレーション≫ 大阪府警に出頭した伸一は、この7月3日の夕刻、午後7時、身に覚えのない公職選挙法違反の容疑で、不当逮捕された。

7月3日といえば、12年前の、1945年、昭和20年、軍部政府の弾圧によって投獄されていた戸田城聖が、中野の豊玉刑務所を、出獄した日である。

なんたる不思議か、その同じ日の、ほぼ同じ時刻に、伸一は逮捕されたのであります。


伸一への取調べは過酷であった。
検事二人がかりで、夕食もなしに、深夜まで尋問(じんもん)が続くこともあった。
まるでさらし者にするかのように、手錠をかけたまま、大阪地検の本館と別館との間を、行ったり、来たり、させたこともあったのであります。


≪戸田城聖≫ なんてことだ。ただちに手錠をはずさせろ。
すぐに伸一を釈放させろ!
いいか、学会をつぶすことが狙(ねらい)なら、この戸田を逮捕しろと、検事につたえてくれ。
かわいい弟子が捕まって、牢獄(ろうごく)に入れられているのを、黙って見すごすことなど、だんじてできぬ。
戸田は逃げも隠れもせんぞ。

(向き直って)

君たちを叱(しか)りつけてすまんな。
しかし牢獄というものは、入った者でないとわからんのだ。
いま伸一は、その中で、必死になって戦っているんだよ。


≪山本伸一≫ 体をこわし、衰弱しきった戸田先生が逮捕されれば、命を縮めることは間違いない。
絶対に、絶対に、先生を逮捕などさせてなるものか!
戸田先生あっての私の人生である。
いかなることがあっても、私は先生をお護りするのだ。

では、検事の言うままに真実を捨てて、嘘をつくのか。
学会の正義はどうなるのか。
それでは、自らの手で愛する学会を汚(よご)すことに、なりはしないのか……

≪ナレーション≫ いかりに胸はうずき、悔し涙があふれ、髪の毛をかきむしり、、、深い苦悩が、夜通し伸一をさいなんだのであります。
悩み抜いた果てに、伸一の心は決まった。


≪山本伸一≫ ……私が罪を背負いさえすれば、一切は収まる。
たとえ無実の罪に 問われようと、戸田先生のためなら、学会のためなら、それでよいではないか。

≪ナレーション≫ そして、7月17日、伸一は大阪拘置所を出たのであります。

≪山本伸一≫  先生!

≪戸田城聖≫  おお、、伸一 …よかった よかった

≪山本伸一≫  先生、大変にご心配をおかけしました。申し訳ございません。

≪戸田城聖≫  それより、体は大丈夫か

≪山本伸一≫  はい、大丈夫です。負けません。

先生の出獄の日に、私は、牢に入ったのですから。

≪戸田城聖≫  伸一君、戦いはこれからだよ。
御本尊は、すべてわかっていらっしゃる。

勝負は、裁判だ。裁判長は、必ずわかるはずだ。
裁判長に真実をわかってもらえれば、それでいいじゃないか。


≪ナレーション≫ のちに池田先生は、7月3日を、次のように綴(つづ)っています。

(青年部朗読)* 僕は、青年として戦った。青年らしく、貧しき人々の家々を訪ね、窓辺に勇気の花を咲かせ、心の暖炉に希望の火を赤々と灯した。
太陽の輝きを仰ぎ、北斗の星を仰(あお)いで、僕は駈(か)けずり回った。
友の額に流れる汗に励まされ、その汗を、断じて勝利の栄光の汗にするために僕は祈った。
そして、僕は、邪悪な権力の魔手(ましゅ)に牢獄の捕(とら)われの身となった。
しかし、師とともに戦いぬいた真実の声は、無実の罪の証(あかし)となって現れた。

僕は、忘れない。
あの日のことを。
僕は、詠(よ)んだ。


出獄と 入獄の日に 師弟あり 
 
七月の 三日忘れじ 富士仰ぐ
 
 

≪ナレーション≫  この「大阪事件」の裁判が、4年半後に無実を勝ち取った、その、いきさつについては、またの寸劇に、こう、ご期待であります。


そして、7月3日が、あらゆる権力から人権を守り、人間の尊厳と自由と平等とを勝ち取ることの原点となり、世界の平和と、文化を創造する創価学会インターナショナル運動へと発展していったことは、皆様ご存知のとおりです。

本日は『小説・人間革命』第11巻「大阪」の章、
更に『小説・新人間革命』第17巻「民衆城」の章から『7月3日』のお話を、
旭日地区のオールスターキャストでおおくりいたしました。

以上で寸劇のコーナーを終わります。


*学生部結成16周年に寄せて民衆凱歌へ不借の転教より引用



最後まで読んでくださってありがとうございます。
長いバージョンも作りましたが、今日はショートバージョンを紹介しました。
今後ともよろしくお願いします。

この寸劇の分量は、おおよそ20文字×160行です。
原稿印刷用に空白行の少ないテキストデータを準備しました。
ぜひご活用ください。

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テーマ: 二次創作 | ジャンル: 小説・文学

『7月3日の、お話』-1-・ロングバージョン

心配なのは君の体だ。絶対に死ぬな。死んではならんぞ。
伸一、もしも、もしも、おまえが死ぬようなことになったら、
私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒に死ぬからな。

勝負は、裁判だ。裁判長は、必ずわかるはずだ。
裁判長に真実をわかってもらえれば、それでいいじゃないか。

出獄と 入獄の日に 師弟あり 
七月の 三日忘れじ 富士仰ぐ 

P1010617_2.jpg
2012年6月に公開したものに手直し修正をしました。


≪ナレーション≫ それでは寸劇のコーナーです。

時は昭和32年西暦1957年6月30日、大阪府警の刑事2人が、突然、山本伸一の自宅を訪れます。

≪刑事≫ ご主人は、おられますか。
大阪府警まで、任意で、ご同行ねがいたい。

≪峯子≫ 主人は、出張中で札幌に行っており、不在でございます。

≪刑事≫ さ、札幌ですか。うーん、、、

≪ナレーション≫ ただちに、学会本部に電話連絡が入ります。

≪峯子≫ 先生、いま、大阪府警の刑事が、来たところです。
かくかくしかじか……

≪戸田城聖≫ よしわかった。
伸一には、こちらから連絡を入れておく。

よいか、何も心配するでないぞ。

≪ナレーション≫ 刑事が、札幌の旅館にやってきました。
しかし 山本伸一は、すでに夕張の地を、かけめぐっていたのです。

≪関久男≫ (おだやかに)大阪府警に出頭せよというのですね。
わかりました。

しかし今は、ムリです。
ダメですよ。少しまって、ください。

≪刑事≫   うーん、、それは困ります。

出頭命令がこの通り出ているのですから、、、
(大声で) 逮捕状も、とろうと思えば、すぐに出るんですよ。

≪関久男≫ (厳しい声で)何を言うんです、君たちは!!
山本伸一は、逃げも隠れもしません。

明日は札幌で、明後日は夕張で、それぞれ炭鉱労働組合の問題で、非常に大事な会合があるのです。
それが終わるまで、待ちなさい。
私が、山本伸一の身柄については、間違いなく保証します。

≪刑事≫ うーん、、、すると、3日、。7月3日ならよいのですね。

≪関久男≫ そのとおりです 
 
≪刑事≫ 間違いありませんね 
 
≪関久男≫ 間違いない

≪ナレーション≫ そうです。地区の皆さん、すでに、お分かりのとおり、 本日の寸劇は、創価学会の原点である、7月3日の、お話であります。


 時は昭和32年西暦1957年7月3日。

その日の朝まで、山本伸一は夕張炭労事件の解決のために北海道にいた。

プロペラ機が、大阪便.乗り換えのため、羽田に到着です。

≪山本伸一≫ 先生。ただいま戻りました。

≪戸田城聖≫ おお、伸一 ……

≪山本伸一≫ 札幌大会と夕張大会は、大成功です。学会の大勝利です。

≪戸田城聖≫ ご苦労、ご苦労、昨夜、電話で聞いたよ、

伸一、征(い)ってきなさい!

われわれがやろうとしている、日蓮大聖人の仏法を広宣流布する戦いというのは、現実社会での格闘なのだ。

現実の社会に根を張れば張るほど、難は競い起こってくる。
それ自体が仏法の真実の 証明であり、避けることなど断じてできない。

どんな難がきそいおころうが、われわれは戦う以外にないのだ。

また、大きな苦難が待ちかまえているが、伸一、征ってきなさい!

≪山本伸一≫ はい、征ってまいります。
  それより、、先生、お体の具合は、、、

≪戸田城聖≫ うん、、、 
  
≪ナレーション≫ めっきりやつれた、師の姿を見ると、胸がえぐられる思いがした。
しかし……


≪戸田城聖≫  心配なのは君の体だ、、、

絶対に死ぬな。死んではならんぞ。

伸一、もしも、もしも、おまえが死ぬようなことになったら、
私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒に死ぬからな。

≪ナレーション≫ 電撃が、伸一の五体を貫いた。
伸一は答える言葉を失った。

伸一は、あふれ出そうになる涙を、じっと、こらえたのであります。

戸田は一冊の本を、伸一に渡した。
それは、出版されたばかりの、戸田城聖による。「小説・人間革命」であった。

≪戸田城聖≫   いよいよ出たよ。あとで読んでくれ。

≪ナレーション≫ 著者の戸田は、照れたように笑った。
伸一の頬(ほお)もゆるんだ。

妻の峯子は、着替え類を詰めてきたカバンを渡し、無言のまま、伸一を見た。

≪山本伸一≫   ありがとう。大丈夫だ。心配ない。
あとはよろしく頼む。

≪ナレーション≫ 出発のため、ロビーに出ると、大勢の同志の姿があった。

≪山本伸一≫   ありがとう。これがあるから大丈夫だよ。

≪ナレーション≫ 伸一は、戸田の「人間革命」をかざして、挨拶をかえした。

≪文京婦人部≫   山本室長、文京支部の人に、このことを、どう話せばよいのでしょうか。

何かご伝言を!

≪山本伸一≫    夜明けが来た,,,日本の夜明けが来た!そう、わが同志にお伝えください。

≪ナレーション≫  権力の魔性を打ち砕き、敢然と乗りこえていくならば、真実の民衆の時代が、必ず到来する。
ゆえに伸一は、「夜明けが来た。」と答えたのであります。

大阪府警に出頭した伸一は、この7月3日の夕刻、身に覚えのない公職選挙法違反の容疑で、不当逮捕された。
7月3日といえば、12年前の、1945年昭和20年、軍部政府の弾圧によって投獄されていた戸田城聖が、中野の豊玉刑務所を、出獄した日である。

なんたる不思議か、その同じ日の、ほぼ同じ時刻に、伸一は逮捕されたのであります。

伸一への取調べは過酷であった。

検事二人がかりで、夕食もなしに、深夜まで尋問が続くこともあった。
まるでさらし者にするかのように、手錠をかけたまま、大阪地検の本館と別館との間を、行ったり、来たり、させたこともあったのであります。

≪戸田城聖≫ なんてことだ。
ただちに手錠をはずさせろ。
すぐに伸一を釈放させろ!

いいか、学会をつぶすことが狙い(ねらい)なら、この戸田を逮捕しろと、検事につたえてくれ。
かわいい弟子が捕まって、牢獄に入れられているのを、黙って見すごすことなどだんじてできぬ。
戸田は逃げも隠れもせんぞ。

(向き直って)
君たちを叱りつけてすまんな。
しかし牢獄というものは、入った者でないとわからんのだ。
いま伸一は、その中で、必死になって戦っているんだよ。

≪山本伸一≫ 体をこわし、衰弱しきった戸田先生が逮捕されれば、命を縮めることは間違いない。
絶対に、絶対に、先生を逮捕などさせてなるものか!

戸田先生あっての私の人生である。
いかなることがあっても、私は先生をお護りするのだ。

では、検事の言うままに真実を捨てて、嘘をつくのか。
学会の正義はどうなるのか。
それでは、自らの手で愛する学会を汚(けがす)ことに、なりはしないのか……

≪ナレーション≫ いかりに胸はうずき、悔し涙があふれ、髪の毛をかきむしり、、、深い苦悩が、夜通し伸一をさいなんだのであります。

悩み抜いた果てに、伸一の心は決まった。

≪山本伸一≫ ……私が罪を背負いさえすれば、一切は収まる。
たとえ無実の罪に 問われようと、戸田先生のためなら、学会のためなら、それでよいではないか。


≪ナレーション≫ そして、7月17日、伸一は大阪拘置所を出たのであります。


≪山本伸一≫  先生!

≪戸田城聖≫  おお、、伸一 ……よかった よかった

≪山本伸一≫  先生、大変にご心配をおかけしました。申し訳ございません。

≪戸田城聖≫  それより、体は大丈夫か

≪山本伸一≫  はい、大丈夫です。負けません。
先生の出獄の日に、私は、牢に入ったのですから。

≪戸田城聖≫  伸一君、戦いはこれからだよ。

御本尊様は、すべてわかっていらっしゃる。

勝負は、裁判だ。裁判長は、必ずわかるはずだ。
裁判長に真実をわかってもらえれば、それでいいじゃないか。

≪ナレーション≫ のちに山本伸一は、自身が逮捕された7月3日を、次のように綴(つづ)っています。

(学生部結成16周年に寄せて民衆凱歌へ不借の転教より)

(青年部朗読)

僕は、青年として戦った。
青年らしく、貧しき人々の家々を訪ね、窓辺に勇気の花を咲かせ、心の暖炉に希望の火を赤々と灯した。
太陽の輝きを仰ぎ、北斗の星を仰(あお)いで、僕は駈(か)けずり回った。
友の額に流れる汗に励まされ、その汗を、断じて勝利の栄光の汗にするために僕は祈った。

そして、僕は、邪悪な権力の魔手に牢獄の捕(とら)われの身となった。

しかし、師とともに戦いぬいた真実の声は、無実の罪の証(あかし)となって現れた。

僕は、忘れない。あの日のことを。僕は、詠(よ)んだ。


出獄と 入獄の日に 師弟あり 
 
七月の 三日忘れじ 富士仰ぐ 

 
≪ナレーション≫  この大阪事件の裁判が、4年半後に無実を勝ち取った、その、いきさつについては、またの寸劇に、こう、ご期待であります。

そして、7月3日が、あらゆる権力から人権を守り、人間の尊厳と自由と平等とを勝ち取ることの原点となり、世界の平和と、文化を創造する創価学会インターナショナル運動へと発展していったことは、皆様ご存知のとおりです。

本日は『小説・人間革命』第11巻「大阪」の章、
更に『小説・新人間革命』第17巻「民衆城」の章から『7月3日』のお話を、
旭日地区のオールスターキャストでおおくりいたしました。

以上で寸劇のコーナーを終わります。


長い「寸劇人間革命」を最後まで読んでいただきありがとうございます。
「7月3日」のロングバージョンになります。

この寸劇人間革命の分量は、おおよそ20文字×240行です。
教学試験の勉強会の合間に、青年部から上演してもらったこともあります。

この寸劇の最初のところ、≪刑事≫とのやり取りを残したまま、短く作り直したものも準備しました。
分量は、20文字×155行ほどです。
こちらも、是非、ご活用ください。


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テーマ: 二次創作 | ジャンル: 小説・文学

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