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戸田先生の最後の指導(所化頭事件)

俺は、本山で一番偉い所化頭だ! 酒を飲んで何が悪い!
お前たち学会は、アルバイトで大石寺にきているのだろう
俺に講義させろ!お前たちは間違った指導をしている。俺が代わって指導してやる!
勤行のやり方がなってねえんだよ。いいか、だいたい、お前らはな…身延の山に行ってしまえ
信者から物をもらって喜ぶやつが、どこにいる。感謝なんかしなくてよい!

16日に戸田先生を車駕にお乗せしたことについても、『総本山では乗りものは禁止されているのに、いい気になって、なんだ。』と罵っています。もう、黙っているわけにはいきません。

あなたとの約束は、慶祝期間中は禁酒だったはずですね! しかし、あの所化頭は毎日酒を飲み、その上、学会の青年部をいじめぬき、今度はお小僧さんに暴行を加えた。これは許せません。
あなたが所化さんたちの教育係と聞いていたので、何回となく私はあの所化頭の愚行をやめさせてくださいと頼んだはずです。しかし、あなたは一度でも実行してくれましたか。もうあなたは信用できません。

衣の権威で、学会を奴隷のように意のままに操り、支配しようとする法主も、出てくるかもしれぬ。
……ことに、宗門の経済的な基盤が整い、金を持つようになれば、学会を切り捨てようとするにちがいない……。
戦時中と同じように、宗門は、正法を滅亡させる元凶となり、天魔の住処にならないとも、限らないのだ……。
しかし……、日蓮大聖人の正法を滅ぼすようなことがあっては、断じてならない。
そのために、宗門に巣くう邪悪とは、断固、戦え。いいか、伸一。一歩も退いてはならんぞ。追撃の手をゆるめるな!

P1010486_2.jpg


≪ナレーション1≫ 本日の寸劇人間革命は、「戸田先生の最後の指導」と題しましてお送りいたします。

時は、昭和33年・西暦1958年3月のお話。
そうです。「広宣流布記念の日」3月16日の前後のお話であります。

≪ナレーション2≫ 毎日七千人、延べ二十万人の学会員が大石寺に参詣する慶祝登山を無事故で行うために、何度も宗門と学会の間で協議が、されたのであります。

≪山本伸一≫ 学会は、大講堂周辺の警備をさせていただきます。御僧侶方は、大講堂のなかを守ってください。この警備は、私たちも命懸けで青年部を中心に行います。

次に大事な事は、慶祝登山が終了するまで、禁酒を徹底していきましょう。御僧侶方全員に伝えてください。

学会の方は私が責任を持って徹底させます。

≪ナレーション2≫ ところが、いざ慶祝登山が始まってみると、この約束を破ったのは僧侶の方であった。そして酒浸りになって、不祥事を起こした僧侶が出たのである。

一度還俗(けんぞく)し、修行を、一からやり直していた、三十一才になる所化頭であった。

この所化頭は、毎晩、料亭に行っては酒を飲んでいた。そればかりか、日中も一升瓶を放さなかったのであります。

所化頭はやりたい放題だった。

酔っ払っては、警備をしている青年部に絡(から)んだ。
「俺は、本山で一番偉い所化頭だ! 酒を飲んで何が悪い!」
「お前たち学会は、アルバイトで大石寺にきているのだろう」

酔っ払ったまま、会合に押しかけた。

「俺に講義させろ!」
「お前たちは間違った指導をしている。俺が代わって指導してやる!」

多くが小中学生である,所化のお小僧さんいじめも、ひどかった。
朝の勤行でも、自分は酔っ払っていながら、お小僧さんには、罵声(ばせい)を浴(あ)びせ続けた。

「勤行のやり方がなってねえんだよ。いいか、だいたい、お前らはな……身延の山に行ってしまえ」

お小僧さんに届けられた、お菓子や果物も、気にくわない。

「信者から物をもらって喜ぶやつが、どこにいる。感謝なんかしなくてよい!」

学会の青年部は、これらの度重なる暴言も、僧侶にあるまじき行状についても、慶祝法要中であることや、僧俗和合のために、ひたすらじっと耐えていたのであります。

≪ナレーション1≫ 三月も末に迫った日のことであった。
整理役員の青年が、早朝、あの問題の所化頭が、お小僧(こぞう)さんたちを怒鳴(どな)り散らしたあげく、大きな鈴(りん)を頭からかぶせて、鈴棒(りんぼう)で思いっきり叩(たた)くという、信じられない虐待をしている光景に出くわした。

酒を飲んでいると見え、顔は異様に赤かった。

驚いた青年は、山本伸一にその模様(もよう)を伝えたのであります。

≪山本伸一≫ また、そんなことがあったのか。

≪青年部≫ 参謀室長、それだけじゃありません。
あの所化頭は、学会員がお小僧さんのために、持ってきた、各地の銘菓や果物に対して、『こんな余り物を』と吐き捨てるように言っているんです。

16日に戸田先生を車駕(しゃが)にお乗せしたことについても、『総本山では乗りものは禁止されているのに、いい気になって、なんだ。』と罵(ののし)っています。
もう、黙っているわけにはいきません。

≪ナレーション1≫ 山本伸一は宗門理事に事情を説明し、所化頭の反省・謝罪を求めなければならないと、判断したのであります。

≪山本伸一≫ あなたとの約束は、慶祝期間中は禁酒だったはずですね! しかし、あの所化頭は毎日酒を飲み、その上、学会の青年部をいじめぬき、今度はお小僧さんに暴行を加えた。これは許せません。

≪宗門理事≫まあまあ、もう少し穏便にしてくれませんか。

≪山本伸一≫ あなたが所化さんたちの教育係と聞いていたので、何回となく私はあの所化頭の愚行をやめさせてくださいと頼んだはずです。しかし、あなたは一度でも実行してくれましたか。もうあなたは信用できません。

≪宗門理事≫ よくわかりました。それでは、彼を呼んで反省を促し、謝罪をさせます。しばらくお待ちください!

≪ナレーション1≫ 所化頭は、いつもの料亭にいた。
なんと、押入れの中に隠れていた。
あきれたことに、一升瓶を抱えすでに半分あけていたのであります。

すっかり泥酔して、フラフラしている所化頭に、青年部が謝罪を求めたのであります。

≪青年部≫あなたは僧侶として、大事な記念行事のさなかに、毎日、酒など飲んで恥ずかしいとは思わないのですか。

あなたは私たち青年部に何か恨(うら)みがあるのですか? はっきり言ってください。

(怒鳴りつける)…ちゃんと、質問に答えなさい!

≪山本伸一≫ まあ、待ちなさい

≪ナレーション1≫ 戸田が宗門の興隆(こうりゅう)のために、外護(げご)の赤誠(せきせい)を貫(つらぬ)いてきたことを嘲(あざ)笑うかのように、僧侶の腐敗、堕落は、限りなく進行していたのであります。

酔いをさますため、所化頭は、衣を脱ぐと川に入り、顔を洗いはじめた。戻ってくるのを待って、伸一は込み上げる激情をこらえ、諄々(じゅんじゅん)と諭(さと)すように語りはじめた。

≪山本伸一≫ いいですか。このたびの大講堂の落成は、日蓮正宗の七百年の歴史に輝く、晴れの壮挙なのです。その慶祝登山のさなかに、僧侶が朝から酒を飲んでいるようなことがあってよいのですか。

しかもあなたはお小僧さんを不当にいじめている。鈴をかぶせて打つなどということは、修行でも、訓練でも、決してないはずです。暴力、暴言は、私どもとしても見過ごすわけにはいきません。是非おやめください。

学会員は、僧侶の皆さんを尊敬しようとしているし、お小僧さんも心から大切にしています。それだから、登山のたびに、お小僧さんたちに、ひもじい思いをさせてはならないと、苦しい生活費のなかから菓子や果物を買い、お届けしてきたのです。

しかし、あなたはそれを『余り物』と言い、学会員を悪く言う。それでは、あまりにも、学会員を愚弄(ぐろう)しているではありませんか。みんなの真心を踏みにじらないでいただきたいのです。

また、あなたは日頃から戸田先生や学会の青年部員に反感をいだき悪口を言っていると聞きましたが、そういうことも、おやめいただきたいのです。

もし、ご意見や批判があるのならばお伺いしますので、私に言ってください……

≪ナレーション1≫ 伸一は忍耐強く、噛んで含めるように所化頭の非をただした。真心をつくしての説得であった。

所化頭は、意固地になっていると見え、憮然(ぶぜん)とした態度を取りつづけていたが、次第にうなだれていった。

≪山本伸一≫ あなたのことは宗門にお任せしますが、私たちの思いをわかってください。

≪ナレーション1≫ やがて、それまで押し黙っていた所化頭の、「すいません……」という声が、かすかに聞こえたのであります。

≪ナレーション2≫ 三月二十九日の朝、山本伸一は、登山会の進行状況を戸田城聖に報告したのであります。

≪山本伸一≫ 先生、ご容体はいかがでしょうか

≪戸田城聖≫ …大丈夫だ。どうだ…総登山の様子は……

≪山本伸一≫ はい、すべて順調に進んでおります。
総登山もあと二日となりましたが、何も事故はございません。ご安心なさってください。

≪戸田城聖≫ そうか……、何も、問題はないか。青年たちは、皆、元気か……

≪山本伸一≫ はい、皆、元気でがんばっております。問題といえば、あまりに非道な僧侶がおりまして、私どもで反省を促(うなが)す意味から抗議をいたしました。

≪ナレーション2≫戸田は軽く眼を閉じて伸一の報告をきていたが、聞き終わると、さも残念そうな表情で語りはじめた。

≪戸田城聖≫ 情けないことだな……。これは、小さい事のようだが、……宗門の腐敗、堕落というじつに大きな問題をはらんでいるのだ。

なぜ、堕落が始まり、腐敗していくのか……。それは広宣流布という至上の目的に生きることを忘れているからなのだ。この一点が狂えば、すべてが狂ってしまう。

残念なことだが……広宣流布を口にしながらも、多くの僧侶が考えていることは、保身であり、私利私欲をいかに満たすかだ。

……つまり、欲望の虜(とりこ)となり、畜生の心に堕(だ)してしまっているのだ。
だから……自分より弱い立場の所化小僧などは、鬱憤(うっぷん)ばらしのオモチャとしか考えない……。
……学会員のことも、供養を運んでくる奴隷(どれい)ぐらいにしか思わず、威張(いば)り散らす者もいるのだ……。

 戦時中も、宗門は、保身のために法を曲げ、大聖人の御遺命(ごゆいめい)を破り、軍部政府に迎合(げいごう)した。
……そして、牧口先生と私が逮捕されるや、かかわりを恐れて、学会を登山停止したのだ。……私は、憤怒(ふんぬ)に血の涙を飲む思いだった。

……戦時中、大聖人の仏法は、外敵によってではなく、臆病(おくびょう)で、姑息(こそく)な、僧侶の保身によって滅ぼされようとしたのだ。

……そのなかで、厳然(げんぜん)と、大聖人の仏法の命脈(めいみゃく)を保ったのが、牧口先生であり、創価学会なのだ。……だから、大聖人の御精神は、ほんとうの、信仰は、学会にしかない。

もし、学会から離れるならば……大聖人の正義(しょうぎ)を踏みにじった、謗法の寺でしかなくなってしまう。

しかも……学会は、宗門が財政的基盤を失い、壊滅(かいめつ)の危機に瀕(ひん)しているのを、信心の赤誠(せきせい)をもって、お助けしてきた。
心ある僧侶は、それを感謝している。
しかし……なかには、学会の大発展に嫉妬(しっと)し、私に対して、反感をいだいている者もいる。

……私が、信心のあり方を厳しく言うものだから、眼のうえのタンコブのように思っているのだ。

でも、……私が生きているうちは、正面きって、とやかくいう者はおるまい。だが、私がいなくなれば……あとは、何をするか、わかったものではないぞ。

≪ナレーション2≫ 戸田は肩で大きく息をしながら話し続けた。その言葉は、息苦しさのためか、しばしば途絶えたが、ただならぬ気迫にあふれていたのであります。

≪戸田城聖≫ 衣(ころも)の権威で、学会を奴隷のように意のままに操(あやつ)り、支配しようとする法主も、出てくるかもしれぬ。

……ことに、宗門の経済的な基盤が整い、金を持つようになれば、学会を切り捨てようとするにちがいない……。
戦時中と同じように、宗門は、正法を滅亡させる元凶となり、天魔の住処(すみか)にならないとも、限らないのだ……。

しかし……、日蓮大聖人の正法を滅ぼすようなことがあっては、断じてならない。

≪ナレーション2≫ そして、戸田は、最後の力を振(ふ)り絞(しぼ)るように叫んだのであります。

≪戸田城聖≫ そのために、宗門に巣くう邪悪とは、断固、戦え。

いいか、伸一。一歩も退いてはならんぞ。

追撃の手をゆるめるな!

≪ナレーション2≫ それは、炎のような言葉であった。
瞬間、戸田の眼が燃え輝いた。
これが、彼の最後の指導であり、愛弟子(まなでし)への遺言となったのであります。

≪ナレーション1≫ このお話が、戸田先生の逝去の4月2日の直前の出来事でありましたことは、皆様ご存知のとおりであります。

 本日は、小説人間革命第12巻「寂光」の章などより、「戸田先生の最後の指導」と題しまして、黎明地区の、オールスターキャストでお送りいたしました。

4.2 そして 5.3と、創価のリズムを刻みながら、すべてに勝利していこうでは、ありませんか。

以上で寸劇人間革命のコーナーを終わります。


長い寸劇人間革命を最後まで読んでいただきありがとうございます。

この寸劇人間革命の分量は、おおよそ20文字×270行です。
印刷用に空白行の少ないテキストデータを準備しました。

所化頭事件については、「渡辺慈済著、日蓮正宗“落日の真相”(2001年2月16日発行、 第三文明社)」から多くを参照しました。
参考のため該当部分を掲載しました。



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テーマ: 二次創作:小説 | ジャンル: 小説・文学

戸田先生の最後の指導

伸一、昨日は、メキシコへ行った夢を見たよ。
待っていた、みんな待っていたよ。日蓮大聖人の仏法を求めてな。
行きたいな、世界へ。広宣流布の旅に……。
伸一、世界が相手だ。君の本当の舞台は世界だよ。
伸一、生きろ。うんと生きるんだぞ。そして、世界に征くんだ。

私は死んだら、大聖人のところへ還ってご挨拶する。
そこで、叱られるか褒められるかわからんが、七日たてばまた戻ってくる。
ともかく七日間は、私の遺骸は焼かずに、そのままにしておきなさい。
みんな、私の死相をよく見ておくのだ。
ほんとうの成仏の相とはどういうものか教えておきたいのだよ。

戦時中と同じように、宗門は、正法を滅亡させる元凶となり、天魔の住処にならないとも、限らないのだ……。
しかし……、日蓮大聖人の正法を滅ぼすようなことがあっては、断じてならない。
そのために、宗門に巣くう邪悪とは、断固、戦え。
いいか、伸一。一歩も退いてはならんぞ。
追撃の手をゆるめるな!



P1010486_2.jpg



≪ナレーション1≫ 本日の寸劇人間革命は、「戸田先生の最後の指導」と題しましてお送りいたします。

時は、昭和33年・西暦1958年3月は下旬のお話。
そうです。「広宣流布記念の日」3月16日の数日後のお話であります。

≪ナレーション2≫ ある朝のことである。
伸一が戸田城聖の寝ている理境坊(りきょうぼう)の二階へ行くと、戸田は床のなかでにこやかな表情を浮かべて話かけてきた。

≪戸田城聖≫ 伸一、昨日は、メキシコへ行った夢を見たよ。
待っていた、みんな待っていたよ。日蓮大聖人の仏法を求めてな。行きたいな、世界へ。広宣流布の旅に……。

≪山本伸一≫ 先生……

≪戸田城聖≫ 伸一、世界が相手だ。君の本当の舞台は世界だよ。
世界は広いぞ。人種も、民族も、異なる。自由主義の国も、社会主義の国もある。国によって宗教もさまざまだ。
そうした国々に、どうやって妙法を広めていくか、いまからよく考えておくことだ。
人類の幸福と平和の実現こそ仏法の本義なのだからな。

≪ナレーション2≫ 戸田はまじまじと伸一の顔を見た。そして、布団のなかから手を出した。伸一は、無言でその手を握った。

≪戸田城聖≫ 伸一、生きろ。うんと生きるんだぞ。
そして、世界に征(ゆ)くんだ。

≪ナレーション2≫ 伸一は戸田の手を握りしめ、何度も頷(うなづ)きながら唇をかみ締(し)めた。彼は師匠の温かい情愛、自己の使命の重大さが痛感されてならなかったのであります。

≪ナレーション1≫ 3月24日、戸田の体の衰弱を心配して、東京から医師を呼んだのであります。

≪木田医師≫ ご病気はすべて治っております。ただ、お体が著しく衰弱しています。
重湯でも、スープでも結構ですから、しっかりお召(め)しあがりになってください。

≪戸田城聖≫ ――どこも悪くないということは、病魔は完全に克服したことになる。
すると、あとは、私自身の使命の問題だ。

私は、念願の七十五万世帯を達成し、大講堂も寄進申し上げた。
いま、一人の人間として果(は)たすべき使命をことごとく果たし終えた、と言える。

≪ナレーション1≫ 戸田は満ち足りた思いで、枕の上から窓外に広がる春の大空を仰いだ。
空を眺めながら、戸田は大宇宙に吸い込まれていくような思いがした。
そして、生死が不二であることを、心から実感することができたのであります。

≪泉田ため≫ (秘書部長の泉田ためです。)先生、何か、お召しあがりいただけませんでしょうか。

≪戸田城聖≫ いや、いらぬ。それより、ここに座りなさい。
私が死んだらな、……

≪泉田ため≫ お亡くなりになるなんて……先生、そんなこと、おっしゃらないでください。

≪戸田城聖≫ まァ、聞きなさい。人間、誰でもいつか死ぬものだ。
私は死んだら、大聖人のところへ還(かえ)ってご挨拶する。

そこで、叱(しか)られるか褒(ほ)められるかわからんが、七日たてばまた戻ってくる。もっとも、宇宙には地球のような星がたくさんあるから、大聖人がどこかの星で広宣流布せよ、と言われれば、そこに生まれることになるだろう。

ともかく七日間は、私の遺骸(いがい)は焼かずに、そのままにしておきなさい。
みんな、私の死相をよく見ておくのだ。
ほんとうの成仏の相とはどういうものか教えておきたいのだよ。

≪ナレーション1≫ 泉田ためは、涙で赤らんだ眼を、しばたたきながら頷いた。
この言葉も、戸田城聖の遺言となったのであります。

≪ナレーション2≫ 三月も末に迫った日のことであった。
整理役員の青年が、早朝、一人の僧侶が、お小僧(こぞう)さんたちを怒鳴(どな)り散らし、大きな鈴(りん)を頭からかぶせて、鈴棒(りんぼう)で思いっきり叩(たた)くという、信じられない虐待をしている光景に出くわした。
酒を飲んでいると見え、顔は異様に赤かった。

驚いた青年は、山本伸一にその模様(もよう)を伝えたのであります。

≪山本伸一≫ また、そんなことがあったのか。

≪青年部≫ それだけじゃありません。
16日に戸田先生を車駕(しゃが)にお乗せしたことについても、あの所家頭(しょけがしら)は、「総本山では乗りものは禁止されているのに、いい気になって、なんだ。」と罵(ののし)っています。もう、黙っているわけにはいきません。

≪ナレーション2≫ 伸一は宗門の理事に事情を説明し、所家頭の反省・謝罪を求めたのであります。

≪山本伸一≫ いいですか。このたびの大講堂の落成は、日蓮正宗の七百年の歴史に輝く、晴れの壮挙(そうきょ)なのです。
そのさなかに、僧侶が毎日、朝から酒を飲んでいるようなことがあってよいのですか。
お小僧さんに対する、暴力、暴言は、私どもとしても見過ごすわけにはいきません。是非おやめください。

学会員は、登山のたびに、お小僧さんたちに菓子や果物を買い、お届けしてきたのです。
しかし、あなたはそれを「余り物」と言う。それでは、あまりにも、学会員を愚弄(ぐろう)しているではありませんか。

また、あなたは日頃から戸田先生や学会の青年部員に反感をいだき悪口を言っていると聞きましたが、そういうことも、おやめいただきたいのです。もし、ご意見や批判があるのならばお伺いしますので、私に言ってください……

≪ナレーション2≫ 伸一は忍耐強く、噛(か)んで含めるように所化頭の非をただした。真心をつくしての説得であった。

やがて「すいません……」という声が、かすかに聞こえたのであります。

≪ナレーション1≫ 三月二十九日の朝、山本伸一は、戸田城聖に登山会の進行状況を報告したのであります。

≪山本伸一≫ 先生、ご容体はいかがでしょうか

≪戸田城聖≫ ……大丈夫だ。
どうだ……総登山の様子は……

≪山本伸一≫ はい、すべて順調に進んでおります。
総登山もあと二日となりましたが、何も事故はございません。ご安心なさってください。

≪戸田城聖≫ そうか……、何も問題はないか。青年たちは、皆、元気か……

≪山本伸一≫ はい、皆、元気でがんばっております。問題といえば、あまりに非道な僧侶がおりまして、私どもで反省を促(うなが)す意味から抗議をいたしました。

≪ナレーション1≫戸田は軽く眼を閉じて伸一の報告をきていたが、聞き終わると、さも残念そうな表情で語りはじめた。

≪戸田城聖≫ 情けないことだな……。これは、小さい事のようだが、……宗門の腐敗、堕落というじつに大きな問題をはらんでいるのだ。

なぜ、堕落が始まり、腐敗していくのか……。それは広宣流布という至上の目的に生きることを忘れているからなのだ。この一点が狂えば、すべてが狂ってしまう。
残念なことだが……広宣流布を口にしながらも、多くの僧侶が考えていることは、保身であり、私利私欲をいかに満たすかだ。

……学会員のことも、供養を運んでくる奴隷ぐらいにしか思わず、威張り散らす者もいるのだ……。

 戦時中も、宗門は、保身のために法を曲げ、大聖人の御遺命(ごゆいめい)を破り、軍部政府に迎合した。
……そして、牧口先生と私が逮捕されるや、かかわりを恐れて、学会を登山停止したのだ。

……戦時中、大聖人の仏法は、外敵によってではなく、臆病で、姑息(こそく)な、僧侶の保身によって滅ぼされようとしたのだ。

……そのなかで、厳然(げんぜん)と、大聖人の仏法の命脈(めいみゃく)を保ったのが、牧口先生であり、創価学会なのだ。……だから、大聖人の御精神は、ほんとうの、信仰は、学会にしかない。

もし、学会から離れるならば……大聖人の正義(しょうぎ)を踏みにじった、謗法の寺でしかなくなってしまう。

しかも……学会は、宗門が財政的基盤を失い、壊滅(かいめつ)の危機に瀕(ひん)しているのを、信心の赤誠(せきせい)をもって、お助けしてきた。

心ある僧侶は、それを感謝している。
しかし……なかには、学会の大発展に嫉妬(しっと)し、私に対して、反感をいだいている者もいる。

……私が、信心のあり方を厳しく言うものだから、眼のうえのタンコブのように思っているのだ。
でも、……私が生きているうちは、正面きって、とやかくいう者はおるまい。

だが、私がいなくなれば……あとは、何をするか、わかったものではないぞ。

≪ナレーション1≫ 戸田は肩で大きく息をしながら話し続けた。その言葉は、息苦しさのためか、しばしば途絶えたが、ただならぬ気迫にあふれていたのであります。

≪戸田城聖≫ 衣(ころも)の権威で、学会を奴隷のように意のままに操り、支配しようとする法主も、出てくるかもしれぬ。

……ことに、宗門の経済的な基盤が整い、金を持つようになれば、学会を切り捨てようとするにちがいない……。

戦時中と同じように、宗門は、正法を滅亡させる元凶となり、天魔の住処(すみか)にならないとも、限らないのだ……。

しかし……、日蓮大聖人の正法を滅ぼすようなことがあっては、断じてならない。

≪ナレーション1≫ そして、戸田は、最後の力を振(ふ)り絞(しぼ)るように叫んだのであります。

≪戸田城聖≫ そのために、宗門に巣くう邪悪とは、断固、戦え。

いいか、伸一。一歩も退いてはならんぞ。
追撃の手をゆるめるな!

≪ナレーション1≫ それは、炎のような言葉であった。瞬間、戸田の眼が燃え輝いた。これが、彼の最後の指導であり、愛弟子への遺言となったのであります。

≪ナレーション2≫ このお話が、戸田先生の逝去の4月2日の直前の出来事でありましたことは、皆様ご存知のとおりであります。

 本日は、小説人間革命第12巻「寂光」の章より、「戸田先生の最後の指導」と題しまして、黎明地区の、オールスターキャストでお送りいたしました。

4.2 そして 5.3と、創価のリズムを刻みながら、すべてに勝利していこうでは、ありませんか。

以上で寸劇人間革命のコーナーを終わります。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

この寸劇人間革命の分量は、おおよそ20文字×230行です。

印刷用に、空白行の少ないテキストデータを準備しました。

さらに、分量がおおよそ20文字×190行のコンパクトタイプも準備しました。


1、メキシコのお話。2、遺言のお話。3、所化頭のお話。4、最後の指導のお話。
4つのお話が続くために、お話の区切りをわかりやすくするために、ナレーションを2人でやる寸劇の構成にしてみました。


190行のコンパクトタイプの印刷イメージ(A4、2枚に印刷)
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新世紀の歌

新世紀の歌 作詞 佐々木政俊 作曲 上田金治郎

ひらけゆく大空に
舞う若鷲
日本の柱 師のもとに
苦悩にあえぐともどちを
救わん地涌の誇りもて

荒海に踊る鯱
轟く大号令
七つの海を征くところ
世界を結ぶ大偉業
進まん今ぞ意気高く

師子王の雄叫びは
大地ゆるがす
広宣流布の大進軍
破邪顕正の剣もて
築かんわれら新世紀

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≪ナレーション≫ それでは寸劇人間革命のコーナーです。本日は、学会歌『新世紀の歌』にまつわるお話であります。

時は昭和36年西暦1961年は五月。福島での会合から、お話が始まります。(5/17東北3総支部結成大会)

≪山本伸一≫ それでは、東北の新しい旅立ちの誓いを込めて、皆で“東北健児の歌”を歌おう!

≪青年部幹部≫(申し訳なさそうに) 
あのーー“東北健児の歌”というのはないのです。

≪山本伸一≫ そうか。関西には『威風堂々の歌』があるし、沖縄にも『沖縄健児の歌』がある。どの地域も、自分たちで歌を作り、高らかに歌いながら、楽しく、堂々と前進している。

東北も、未来への出発のために、新しい歌を作ったらどうだろう。

民衆の興隆(こうりゅう)のあるところには、必ず歌がある。
歌には、人びとの理想があり、その歌を通して、団結も生まれる。
だから、声高らかに歌を歌って、明るく、うんと陽気に、人生を楽しみながら、広宣流布を進めていくんだよ。

≪ナレーション≫ 青年部を中心に作成委員会が作られ、歌詞の公募が始まりました。
やがて、何十かの作品が集まった。幹部たちも率先して作り始めた。

しかし、これといった歌詞はなかったのであります。

 その頃、一人の青年が、歌詞作りに挑戦していたのであります。
学生部員、佐山俊夫であります。

≪佐山俊夫≫ 山本先生の、「自分が開いた道はすべて、学会直系の青年部に託していく」との指導に感動しました。

この師の心を受け継いで自分たち青年が、新しき世紀へ、新しき世界へと雄飛していくのだ!よし。この思いを、“東北健児の歌”の歌詞として表現しよう。

≪ナレーション≫ 佐山俊夫は、戸田城聖と山本伸一が立った、青葉城址を歩いては、その師弟の姿に思いをめぐらしながら、自身の未来への飛翔(ひしょう)を誓ったのであります。

≪佐山俊夫≫ 松林の上には、澄(す)んだ秋の空が広がっている。天空へと上昇しゆく、空飛ぶ者の王・鷲(わし)のイメージが、うかんできたぞ。
うーん、世界広布の大空に飛び立つ、青年部。

うーん、「ひらけゆく大空に」よしこれだ。これでいこう。

大空とくれば大地だ。
地走る者の王・獅子の広布の雄叫びだ。

天と地。よし、次は、新世紀への船出の海を表現しよう。

≪ナレーション≫ 彼は、戸田城聖が昭和三十二年1957年の年頭に詠んだ「荒海の鯱にも似たる若人の 広布の集い 頼もしくぞある」との和歌を思い起こしたのであります。

≪佐山俊夫≫ よし、いいぞ。あーでもない。こーでもない。鉛筆なめなめ。唱題、唱題。

ひらけゆく大空に舞う若鷲 日本の柱 師のもとに
苦悩にあえぐはらからを 救わん地涌の誇りもて

よしこれでいこう。

≪ナレーション≫ その頃、最終選考には、数点が残っていた。
しかしどれもこれも、どんぐりのせいくらべ。皆が納得できるものではなかったのであります。

≪佐山俊夫≫ 遅くなりましたが、まだ、間に合うでしょうか。

≪青年部幹部≫(あまり期待せずに)
 はい。はい。ご苦労様。どれどれ。
おォ!おォー!
これは、すごいぞ。いいよ、すごくいいじゃないか。斬新で、勇壮じゃないか。

≪ナレーション≫ さらに皆で推敲(すいこう)をかさね、歌が完成したのです。
いよいよ、新しい歌の発表となる、東北本部の落成式の11月20日がやってきたのであります。

≪山本伸一≫ 戸田先生は何度も、この仙台に足を運ばれました。そして、ある時は指導にあたり、ある時は講義をされ、また、ある時は青葉城址に立たれて、あの有名な『学会は人材の城をもって広宣流布に進むのだ』とのお言葉を残されております。

この「人材の城」をもって広宣流布をしていくということが、学会の永遠の考え方であります。その人材を育成していくための城が、ここに完成したことが、私には何よりもうれしいのであります。

仏法を持った皆様方こそ、新時代を開くリーダーであると確信して、一人一人が、社会の第一人者となっていただきたい。

≪ナレーション≫ 続いて、新たに作られた、“東北健児の歌”が発表されたのであります。
伸一は、手渡された歌詞にじっと視線を注ぎながら、参加者の合唱に耳を傾けた。

ひらけゆく大空に 舞う若鷲、、

歌詞も、曲も、勇壮で、力強かった。

皆の心が、無限の大空に広がっていくような、雄大な歌であった。

≪山本伸一≫ いい歌だ。
東北も明るくなったね。もう一度!。

≪ナレーション≫ 再び合唱が始まった。皆、はつらつと、喜びを満面にたたえて、力いっぱい歌ったのであります。

≪山本伸一≫ この歌を、東北だけでなく、日本国中で歌っていきたいと思うが、どうだろうか。

≪ナレーション≫ 大拍手が鳴り響いた。

≪山本伸一≫ この歌は、全国の同志が歌っていくのだから「新世紀の歌」としてはどうだろうか。

それと、一番の歌詞に「苦悩にあえぐはらからを」とあるが、この「はらから」を「ともどち」としてはどうかね。その方が親しみやすいように思うが。

≪ナレーション≫ 作成に携(たずさ)わった青年たちから、ひときわ大きな賛同の拍手が沸(わ)き起こったのであります。

それでは、皆さんで、いっしょに歌いましょう。

ひらけゆく大空に 舞う若鷲(わかわし)
日本の柱 師(し)のもとに
苦悩にあえぐともどちを
救わん地涌(じゆ)の誇りもて

荒海に踊る鯱(しゃち) 轟(とどろ)く大号令
七つの海を征(ゆ)くところ
世界を結ぶ大偉業
進まん今ぞ意気高く

師子王(ししおう)の雄叫びは 大地ゆるがす
広宣流布(こうせんるふ)の大進軍
破邪顕正(はじゃけんせい)の剣もて
築かんわれら新世紀

≪ナレーション≫ 翌朝、山本伸一は、七年前、戸田とともに歩いた、青葉城址を散策したのであります。

≪山本伸一≫ ほら見てごらん。大きな石も、小さな石も、いろいろな石が、きれいに、きちっと積み重ねられている。だから、この石垣は堅固なんだね。これは団結の象徴だよ。
人材の城というのは、人材の団結の城ということだ。団結は力であり、そこに学会の強さがある。

東北に人材の牙城をつくろう。

そして、あの「新世紀の歌」のように、東北の君たちの力で、民衆の新世紀を開いていくんだよ。

≪ナレーション≫ 青年たちの瞳(ひとみ)が光った。

山本伸一は、青葉城の一角に立ち、一首の和歌を詠んだのであります。

人材の 城を築けと 決意ます
 恩師の去りし 青葉に立つれば

本日は、新人間革命第5巻「勝利」の章より、「新世紀の歌」にまつわるお話を、旭日地区のオールスターキャストでお送りいたしました。

池田先生が「随筆・新人間革命 新世紀の歌と東北」の中で、

「私は、『新世紀の歌』が大好きであった。東北の同志が作ってくれたことが、無性に嬉しかった。わが東北は、多くの苦難の道のりをも、雄々しき歌声とともに、今こそ、新しき世紀の夜明けなりと、威風堂々、出陣したのである。」

と、紹介してくださっていることは、皆様ご存知の通りであります。

以上で、寸劇人間革命のコーナーを終わります。




最後までこの寸劇人間革命を読んでいただきありがとうございます。
この寸劇人間革命の分量は、おおよそ、20文字×190行です。

印刷用に、空白行の少ないテキストデータを準備しました。ご活用ください。

このほど(2017/03)、スリムなタイプを新たに作ってみました。
分量は、20文字×120行ほどです。
こちらのほうが、座談会では、上演しやすいと思います。
テキストデータを準備しましたので、楽しく、有意義な座談会に、是非、ご活用ください。


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愛唱歌 『森ヶ崎海岸』 にまつわる お話

岸辺に友と 森ヶ崎  磯の香高く 波かえし
十九の青春 道まよい 哲学語り 時はすぐ

友は悩めり 貧しけれ 基督の道 われ行くと
瞳きびしく 月映えて つよき鼓動に 波寄せり

崩れし土手に 草深く いかなる虫か 知らねども
今宵は詩歌を つくらんと 楽 平安の 念いあり

されども友は 黙しけん いかに生きなば わがいのち
深園の月に 飛びゆかん 涙を拭い 悲歎あり

友の孤愁に われもまた 無限の願望 人生を
苦しみ開くと 誓いしに 友は微笑み 約しけん

友の求むる 遠き世に たがうも吾れは 己が道
長歌の舞台 涯しなく 白髪までも 月語る

君に幸あれ わが友よ つぎに会う日は いつの日か
無言のうちの 離別旅 銀波ゆれゆく 森ヶ崎


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≪ナレーション≫ それでは、寸劇人間革命のコーナーです。
本日は、「友人との語らい」と題しまして、お送りいたします。

≪山本伸一≫ 私の友人にキリスト教に入った人がいた。
戦後間もなく、一緒に読書会を開き、文学や哲学を学びあった親しい仲間だった。
彼は、ある大きな悩みを抱え、教会の門を叩(たた)いた。

私が創価学会に入会する直前のことです。

その後、彼も、私も移転してしまい。消息は途絶えてしまったが、今も私は、この友人の幸せを祈っています。

もし、彼と会うことができたら、また、人生を語り合いたい。そして、仏法を教えたいと思う。
布教といっても友情から始まる。相手を尊重してこそ、本当の対話ができる。

≪ナレーション≫ 山本伸一は、友と語り合った、青春の日々を思い起こした。
それは、彼が十九歳の時のことであった。

やがて友人は、自分の悩みを打ち明けるようになった。

貧しい暮らし、複雑な家庭環境、人間への不信、失恋の痛手、友人は、時には涙を流しながら、自分の心境を語ることもあったのであります。

それは、月の美しい夜であった。

森ヶ崎の海岸で、いかに生きるべきか語り合っているうちに、友人は意を決したように言ったのであります。

≪友人≫ 山本君、ぼくは、キリスト教に入ってみようと思う。人間は、心に神を持たなければ、人を信ずることも、自分を信ずることもできないような気がする。

神の存在とは何かは、まだ、よくわからないけど、聖書を読んでいると、心の安らぎを覚えるし、神を信じられそうな気がしてくる。

≪山本伸一≫ 君が、そう決めたのなら、それもよいと思う。ともかく、ぼくの願いは、君が幸せになることだ。

ぼくの進もうとする道とは異なると思うが、そこから君が何かをつかみ、人生の大空に飛び立ってもらいたい。

ぼくも今は結核だし、生活も苦しいが、すべてを乗り越えて、社会のため、人々のために貢献できる、堂々たる人生を開こうと思う。お互いに頑張ろう。

≪ナレーション≫ 伸一がこう言って手を差し出すと、友人は固く、その手を握り締めた。

山本伸一が、生涯の師匠・創価学会第2代会長・戸田城聖と出会うのは、この直後のことであります。

伸一は、この友人との語らいを詩にしてノートに記し、「森ヶ崎海岸」という題をつけたのであります。

≪山本伸一 詩の朗読≫

岸辺(きしべ)に友と 森ヶ崎(もりがさき)
磯(いそ)の香(か)高く 波かえし
十九の青春 道まよい
哲学語(かた)り 時はすぐ

友は悩めり 貧(まず)しけれ
基督(キリスト)の道 われ行(ゆ)くと
瞳(ひとみ)きびしく 月映(は)えて
つよき鼓動(こどう)に 波寄せり

崩(くず)れし土手に 草深く
いかなる虫か 知らねども
今宵(こよい)は詩歌(しいか)を つくらんと
楽(がく) 平安(へいあん)の 念(おも)いあり

されども友は 黙(もく)しけん
いかに生きなば わがいのち
深園(しんえん)の月に 飛びゆかん
涙を拭(ぬぐ)い 悲歎(ひたん)あり

友の孤愁(こしゅう)に われもまた
無限の願望 人生を
苦しみ開くと 誓(ちか)いしに
友は微笑(ほほえ)み 約(やく)しけん

友の求むる 遠き世に
たがうも吾(わ)れは 己(おの)が道
長歌(ちょうか)の舞台 涯(はて)しなく
白髪(しらがみ)までも 月語る

君に幸(さち)あれ わが友よ
つぎに会う日は いつの日か
無言のうちの 離別旅(わかれたび)
銀波(ぎんば)ゆれゆく 森ヶ崎


≪ナレーション≫ 後に、この詩に、青年部の有志が曲をつけ、愛唱歌として広く歌われていますことは、皆様ご存知のとおりであります。

本日は、小説・新人間革命第五巻・“歓喜”の章より、「友人との語らい・森ヶ崎海岸」と題しまして、旭日地区合唱団の、オールスターキャストでお送りいたしました。

以上で、寸劇人間革命のコーナーを終わります。



最後まで、この寸劇人間革命を読んでいただいてありがとうございます。

寸劇が終わったら、皆さんで、合唱されてはいかがでしょうか。
この寸劇人間革命の分量はおおよそ、20文字×100行です。

印刷用に、空白行の少ないテキストデータを準備しましたので、ご活用ください。


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