「メルボルン支部の発足」のお話

学会が掲げているのは地球民族主義だ。
その実現の第一歩は、君がこのオーストラリアで、力を持ち、実証を示して、誰からも信頼され、尊敬されていくことだよ。
時代は、地球民族主義の方向へ動いていかざるをえない。それは、オーストラリアの人びとの、意識を革命していくことでもある。
だが、これは大変なことだ。
生活に根ざした、粘り強い戦いだ。

君は、その先駆者になりたまえ!



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≪ナレーション≫ 時は昭和39年1964年5月。
山本伸一の一行が、オーストラリアのシドニー空港に到着したのは、13日午前9時40分。
美しい青空が広がっていた。

≪山本伸一≫ やあ、元気だったかい。

≪廷野修(ていのおさむ)≫ はい!先生!

≪山本伸一≫ ところで、どうしたんだい。背広も、ネクタイも、よれよれだよ。
それに、その頭。ボサボサで、まるで「ヤマアラシ」みたいじゃないか。

≪廷野修≫ 昨夜は、豪雨でしたもので、外出した時に、濡(ぬ)れてしまったんです。
それで、髪の毛も油っけがなくなってしまいまして……

≪山本伸一≫ 大変だったね。風邪は引かなかったかい

≪廷野修≫ はい。大丈夫です。実は、天気予報では、今日も雨ということだったんです。

≪山本伸一≫ そうか、晴れてくれてよかったな。でも、一番嬉しいのは、廷野君が元気なことだよ。少し太ったようだし、本当によかった。

≪ナレーション≫ 山本伸一が、留学直前の廷野を激励したのは、2年前のことであった。その青年の成長した姿が、たまらなく嬉(うれ)しかったのであります。

≪廷野修≫ 先生、なんとか博士号が、とれそうなところまでまいりました。

≪山本伸一≫ それはよかった。よく頑張ったね。ところで、オーストラリアには、今、メンバーは何人ぐらいいるんだい。

≪廷野修≫ はい。首都のキャンベラには、私だけですが、オーストラリア全体では、私が、つかんでいるだけで、五、六人おります。そのほかにも、おそらく、まだ何人かは、いるのではないかと思います。かくかくしかじか。

≪ナレーション≫ メンバーの状況を説明したあと、廷野は伸一に尋ねた。

≪廷野修≫ 今、アメリカに留学しないかという話が、あるんです。学問の研究のうえでは、ここにいるよりも、アメリカに渡(わた)ったほうが、実りは多いと思います。
このまま、オーストラリアにいたほうがよいのか、それとも、アメリカに留学して、それから日本に帰った方がよいのか、迷っているのですが……

≪山本伸一≫ できることなら、オーストラリアにいて、博士号を取ったら、ここで仕事を探してみてはどうかね。
私の希望としては、君には、末長く、オーストラリアの中心者として、頑張ってもらいたいんだ。

≪廷野修≫ 正直なところ、ここで就職することは、考えていませんでした。この国では、白人の優先のシステムや考え方が、あまりに根強く、白人以外の人種が就職したり、社会に食い込んでいくのは、並大抵のことではありません。

≪山本伸一≫ そうかもしれない。しかし、だからこそ、誰かが、それを打ち破っていかなければならない。
どこの国でも、さまざまな差別や障害がある。それが現実だよ。矛盾(むじゅん)だ。不平等だと文句を言うだけで、それが解決できるなら、こんな簡単なことはない。
その現実を直視して、道を切り開いてきたのが、世界広布の歩みです。

学会が掲(かか)げているのは地球民族主義だ。その実現の第一歩は、君がこのオーストラリアで、力を持ち、実証を示して、誰からも信頼され、尊敬されていくことだよ。
時代は、地球民族主義の方向へ動いていかざるをえない。それは、オーストラリアの人びとの、意識を革命していくことでもある。だが、これは大変なことだ。
生活に根ざした、粘り強い戦いだ。

君は、その先駆者になりたまえ!

≪ナレーション≫ この「先駆者になりたまえ」との言葉は、廷野の胸に、たちまち灼(や)きついたのであります。
この時、廷野の心に、広布への、誓いの種子が、蒔(ま)かれた。彼は、この伸一の指導で、生涯、オーストラリアの広布に生き抜くことを決意したのであります。

≪山本伸一≫ (力強く)人数は少ないが、オーストラリアに支部をつくろう。
支部長は、廷野君、君がなるんだよ。

≪廷野修≫ はい。頑張ります。

≪山本伸一≫ 支部長でも、地区部長でも、すべて、原理は一緒だよ。一人一人を、自分以上の人材に育てあげていけばよい。そして、同志を着実に増やしていくことだ。
それから、支部名だが、オーストラリア支部ではなく、メルボルン支部にしようと思う。
今後、オーストラリアも広宣流布が進めば、各地に支部がつくられていくんだから、国名を支部名にするのはよそう。

≪ナレーション≫ 未来の大発展を想定しての、支部の名称に、廷野は、思わず武者震いをおぼえたのであります。

≪山本伸一≫ 君はオーストラリアで大学者になることも大事だが、君の深い任務は、この国の広宣流布にある。
それが地涌の菩薩としての、根本の使命だ。学問の力では、人びとを根底から救いきることはできない。それができるのは仏法だけです。

人間として、何が偉いのか。何が尊いのか。社会的な立場や経済力にばかり目がいき、その基準がわからなくなってしまっているのが、現代の社会です。
仏法は、その根本価値を教えている。それが広宣流布に生きることです。人を救い、人を幸福にしていく作業に励んでいく中にこそ、人間としての最大の輝きがあるのです。

≪ナレーション≫ 廷野は、翌年に博士号を取得し、有名な研究所に就職が決まった。
そして、ここで着実に実績を残して、信頼の輪を広げ、上級研究員、主任研究員となっていくのである。
また、組織の発展にともない、総支部長、本部長、理事長となり、オーストラリアSGIのリーダーとして、大活躍していくことになるのであります。

本日は、小説新人間革命第9巻新時代の章より、「メルボルン支部の発足」のお話を、旭日地区のオールスターキャストでお送りいたしました。

以上で寸劇人間革命のコーナーを終わります。




この寸劇人間革命を最後まで読んでいただきありがとうございます。
この寸劇の、二人の語らいの順序は、原作とかなり異なっています。廷野修の言い回しも変更しています。
少し、いじりすぎだと、思われた方には、お詫びいたします。

この寸劇人間革命の分量はおおよそ、20文字×140行です。

原稿印刷用に空白行の少ないテキストデータを準備いたしました。

楽しく、有意義な座談会にぜひご活用ください。






≪ナレーション≫ 時は昭和39年1964年5月。
山本伸一の一行が、オーストラリアのシドニー空港に到着したのは、13日午前9時40分。
美しい青空が広がっていた。
≪山本伸一≫ やあ、元気だったかい。
≪廷野修(ていのおさむ)≫ はい!先生!
≪山本伸一≫ ところで、どうしたんだい。背広も、ネクタイも、よれよれだよ。
それに、その頭。ボサボサで、まるで「ヤマアラシ」みたいじゃないか。
≪廷野修≫ 昨夜は、豪雨でしたもので、外出した時に、濡(ぬ)れてしまったんです。
それで、髪の毛も油っけがなくなってしまいまして……
≪山本伸一≫ 大変だったね。風邪は引かなかったかい
≪廷野修≫ はい。大丈夫です。実は、天気予報では、今日も雨ということだったんです。
≪山本伸一≫ そうか、晴れてくれてよかったな。でも、一番嬉しいのは、廷野君が元気なことだよ。少し太ったようだし、本当によかった。
≪ナレーション≫ 山本伸一が、留学直前の廷野を激励したのは、2年前のことであった。その青年の成長した姿が、たまらなく嬉(うれ)しかったのであります。
≪廷野修≫ 先生、なんとか博士号が、とれそうなところまでまいりました。
≪山本伸一≫ それはよかった。よく頑張ったね。ところで、オーストラリアには、今、メンバーは何人ぐらいいるんだい。
≪廷野修≫ はい。首都のキャンベラには、私だけですが、オーストラリア全体では、私が、つかんでいるだけで、五、六人おります。そのほかにも、おそらく、まだ何人かは、いるのではないかと思います。かくかくしかじか。
≪ナレーション≫ メンバーの状況を説明したあと、廷野は伸一に尋ねた。
≪廷野修≫ 今、アメリカに留学しないかという話が、あるんです。学問の研究のうえでは、ここにいるよりも、アメリカに渡(わた)ったほうが、実りは多いと思います。
このまま、オーストラリアにいたほうがよいのか、それとも、アメリカに留学して、それから日本に帰った方がよいのか、迷っているのですが……
≪山本伸一≫ できることなら、オーストラリアにいて、博士号を取ったら、ここで仕事を探してみてはどうかね。
私の希望としては、君には、末長く、オーストラリアの中心者として、頑張ってもらいたいんだ。
≪廷野修≫ 正直なところ、ここで就職することは、考えていませんでした。この国では、白人の優先のシステムや考え方が、あまりに根強く、白人以外の人種が就職したり、社会に食い込んでいくのは、並大抵のことではありません。
≪山本伸一≫ そうかもしれない。しかし、だからこそ、誰かが、それを打ち破っていかなければならない。
どこの国でも、さまざまな差別や障害がある。それが現実だよ。矛盾(むじゅん)だ。不平等だと文句を言うだけで、それが解決できるなら、こんな簡単なことはない。
その現実を直視して、道を切り開いてきたのが、世界広布の歩みです。
学会が掲(かか)げているのは地球民族主義だ。その実現の第一歩は、君がこのオーストラリアで、力を持ち、実証を示して、誰からも信頼され、尊敬されていくことだよ。
時代は、地球民族主義の方向へ動いていかざるをえない。それは、オーストラリアの人びとの、意識を革命していくことでもある。だが、これは大変なことだ。
生活に根ざした、粘り強い戦いだ。
君は、その先駆者になりたまえ!
≪ナレーション≫ この「先駆者になりたまえ」との言葉は、廷野の胸に、たちまち灼(や)きついたのであります。
この時、廷野の心に、広布への、誓いの種子が、蒔(ま)かれた。彼は、この伸一の指導で、生涯、オーストラリアの広布に生き抜くことを決意したのであります。
≪山本伸一≫ (力強く)人数は少ないが、オーストラリアに支部をつくろう。
支部長は、廷野君、君がなるんだよ。
≪廷野修≫ はい。頑張ります。
≪山本伸一≫ 支部長でも、地区部長でも、すべて、原理は一緒だよ。一人一人を、自分以上の人材に育てあげていけばよい。そして、同志を着実に増やしていくことだ。
それから、支部名だが、オーストラリア支部ではなく、メルボルン支部にしようと思う。
今後、オーストラリアも広宣流布が進めば、各地に支部がつくられていくんだから、国名を支部名にするのはよそう。
≪ナレーション≫ 未来の大発展を想定しての、支部の名称に、廷野は、思わず武者震いをおぼえたのであります。
≪山本伸一≫ 君はオーストラリアで大学者になることも大事だが、君の深い任務は、この国の広宣流布にある。
それが地涌の菩薩としての、根本の使命だ。学問の力では、人びとを根底から救いきることはできない。それができるのは仏法だけです。
人間として、何が偉いのか。何が尊いのか。社会的な立場や経済力にばかり目がいき、その基準がわからなくなってしまっているのが、現代の社会です。
仏法は、その根本価値を教えている。それが広宣流布に生きることです。人を救い、人を幸福にしていく作業に励んでいく中にこそ、人間としての最大の輝きがあるのです。
≪ナレーション≫ 廷野は、翌年に博士号を取得し、有名な研究所に就職が決まった。
そして、ここで着実に実績を残して、信頼の輪を広げ、上級研究員、主任研究員となっていくのである。
また、組織の発展にともない、総支部長、本部長、理事長となり、オーストラリアSGIのリーダーとして、大活躍していくことになるのであります。
本日は、小説新人間革命第9巻新時代の章より、「メルボルン支部の発足」のお話を、旭日地区のオールスターキャストでお送りいたしました。
以上で寸劇人間革命のコーナーを終わります。


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テーマ: 二次創作 | ジャンル: 小説・文学

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