「広宣流布記念の日」3月16日の、お話

峰さん、あなたの来るのを六千人の青年が、前々から準備をして、待っているのですぞ!!
青年を騙すことになるではないか!!

済まないことをしました。戸田さんには、くれぐれもお詫びします。

私に詫びよと、いっているのではない!!詫びるのは、青年たちにだ!!

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豚汁のお話、車駕のお話、峰総理のお話、式典のお話の4部構成です。
分量はおおよそ20文字×300行です。



≪ナレーション≫ それでは寸劇人間革命のコーナーです。

時は昭和33年、西暦1958年の3月、一日7000人、一ヶ月で20万人の大講堂落慶総登山の、まっ最中であります。

そこに、時の首相、峰直介(みねなおすけ)から、3月16日の日曜日に総本山に参詣したいとの、連絡が入ったのであります。
そうです。本日は、「広宣流布記念の日」3月16日の、お話であります。

≪戸田城聖≫ よい機会だ。この日に、青年部を登山させようじゃないか。
そして将来のために広宣流布の模擬試験、予行演習となる 式典をしようじゃないか。
伸一、僕はこの3月16日の式典を、広布の後継と責任を、君たちに託す儀式にしようと思っているのだよ。
この式典の全責任は君がもつのだ。思い通りに、力いっぱいやりたまえ。

≪山本伸一≫ はい、見事な後継の、誓いの集いに、いたします。

≪ナレーション≫ こうして、山本伸一を中心に、式典の準備は、直ちに進められていきました。
「3月16日に、急遽、青年部の登山がある」この連絡は、またたくまに、組織の隅々までいきわたったのであります。

そして師匠の戸田は、愛する弟子たちのために、すでに一つのアイデアを計画していたのであります。

≪蒲田支部≫ 私は蒲田支部の支部幹事です。
先生に、ご挨拶に来ました。「戸田先生、昨日の大講堂落慶法要まことに、おめでとうございます」

≪戸田城聖≫ おう、よく来た。待っていたのだ。
じつは、君に頼みたいことがあったのだよ。
じつは峰首相が、総本山に来ることになっている。
その時は、青年部を登山させ、総理を迎えようと思っているんだが、朝早くから、寒い中、青年たちが、腹をすかせて、やって来るに違いない。

 そこでだ、この青年たちに何か温かいものを食べさせてやりたい。
いろいろ考えてみたが、豚汁が、一番いいのではないかと思う。
湯気のたつ豚汁は体も温まるし、栄養にもなるからな。
一つ君が中心になって、この豚汁づくりをやってもらいたいのだ。できるだろうかね、、、、

≪蒲田支部≫ はぁ? はい、かしこまりました。
やらせていただきます。そうしますと、人数はいかほどになりますでしょうか。

≪戸田城聖≫ 5――6000人だろうな。

≪蒲田支部≫ ろ、ろ、ろ、6000人分の豚汁!!、
んんーー、、一人一合としても、、、、んんーー、、6石(こく)ですな、、役員も50人くらいは、、、

≪戸田城聖≫ いや、こうした作業は、少数精鋭でやった方がはかどるだろう、10人もいれば十分だ。
豚は2、3頭もあればいいだろう。
それで足りなければ、食べられるものなら何でもかんでも、入れればいいじゃないか、、は-は-は-は-は-
腹が減っては戦はできん。いかなる戦いでも、これが鉄則だよ。

≪蒲田支部≫ はい、かしこまりました。
役員は蒲田支部から十人。えーと、あーでもない。こーでもない。
かまどはドラム缶にディーゼルバーナーを取り付けたやつを四基、大がま四つ、小ビャクシ30、大ビャクシ2本、大しゃもじが1つ。
あーでもない。こーでもない、豚が3頭、にんじん10貫、ごぼう15貫、長ネギ15貫、ジャガイモ60貫、、野菜100貫、、、味噌は四斗だる一つ、、、

≪戸田城聖≫ 参加者には、「はし」と「わん」を持ってくるように徹底するのだ。
ただし、弁当は各自が持参するんだよ。
そこまで面倒は、みれんからな。は-は-は-は-は-は-

≪ナレーション≫ 一方、弟子の山本伸一は、師匠のために、ひとり、心を痛めていたのであります。
それは戸田の体の衰弱でありました。

≪山本伸一≫ 戸田先生の気迫は、決して変わることはない。
しかし歩行は、日を追って困難になってきている。
なんとしても、師匠の体の負担を少しでも、減らしたいものだ。
澤田君、頼みがあるんだ。

≪澤田良一≫  山本参謀室長、なんでしょうか。

≪山本伸一≫ 16日の式典の時に、車駕(しゃが)を用意して、そこに戸田先生に乗っていただいて、青年たちで、担ごうと思っているんだ。

≪澤田良一≫ わかりました。それでは、どのようなものを、作ればよろしいのでしょうか。

≪山本伸一≫ 戸田先生のお体の具合がとても、心配だ。
ともかく、戸田先生がお疲れにならないように、して欲しい。
一切は、澤田君に任せるから、よくよく、工夫して欲しい。
  (二人の会話ここまで)

≪澤田良一≫ これは、、真剣に、考えねば、、どうすればいいだろう、あーでもない、、こーでもない 
 そうだ車駕に、ひじかけいすをのせよう。
こうすれば戸田先生がゆったりとすわって、足を伸ばす事もできるぞ。
材料はヒノキだ。手すりを回せば、いいものができそうだ。
あーでもない  こーでもない  
 図面、図面、、よし、よし、鉛筆なめなめ、よしこれでいこう。

≪澤田良一≫ 参謀室長、車駕ができました。今、理境坊の中庭に運びました。

≪山本伸一≫ ありがとう。がっしりして立派にできたね。
これなら、戸田先生のお体に、負担をかけなくてすむ。澤田君、制作費は、

≪澤田良一≫ それが、じつは、四万円もかかって、しまいました。

≪山本伸一≫ それは、心配しなくていい。私が払う。

≪ナレーション≫ 伸一は財布をはたいて、自分ひとりで全額を支払ったのであります。
(当時は高卒初任給で1万円)
それから、伸一は、理境坊の2階に行って、戸田に、報告した。

≪山本伸一≫ 明日の式典で、先生にお乗りいただこうと、車駕を作りました。
御覧いただければと思います。

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≪戸田城聖≫ おう、、ん、、、、、、大きすぎる。
これでは戦闘の役にはたたぬ!

≪側近幹部≫ ほんとうに大きいですね。
これじゃあ、まるで角館の祭りの山車(だし)ですね。

≪澤田良一≫ しまったーーー、どうしようーー、あの形も大きさも、私が考えたものだ。
責任は私にあるのに、参謀室長ー(泣く)

≪山本伸一≫ 大丈夫だよ、澤田君。 
戸田先生は、かならず乗ってくださる。
弟子が真心をこめてつくったのだもの、、戸田先生は、こうした一つひとつの事柄を通して、私たちを真剣に訓練して下さっているんだよ。

ありがたいことじゃないか。
今のお叱りの言葉も、先生の御慈愛なんだ。
その先生が私たちの真心に、お応えくださらないわけがないじゃないか。
なにも、心配はいらないよ。

≪ナレーション≫  16日 午前3時過ぎから、青年たちを乗せた、バスが次々と到着した。
彼らを、待っていたのは、あの豚汁でありました。
その時初めて「はし」と「わん」を持ってくるようにと、徹底された、理由が、わかったのであります。
ことに、それが、戸田先生の心尽くしのご馳走であると知ると、師匠の真心に熱いものが、込み上げるのを、覚えたのであります。
 
午前9時半、峰首相の歓迎にための、すべての準備は整った。あとは首相一行の到着を待つばかりであります。しかし、、、

≪戸田城聖≫ もしもし、戸田ですが、どなたでしょうか

≪峰首相≫ 首相の、峰直介です。
実は戸田さん。
まことに申し訳ない。
家族と箱根まで来ておるのですが、エート、そうそう外交上の問題が発生しまして急遽、東京に戻らねばならなくなってしまったのですよ。

≪戸田城聖≫ なに!、なんですと!!

≪峰首相≫ まことに申し訳ないが、そんなわけで、私は、これから東京に引き返さなければならんのです。

≪戸田城聖≫ 峰さん、あなたの来るのを六千人の青年が、前々から準備をして、待っているのですぞ!!
青年を騙(だま)すことになるではないか!!

≪峰首相≫ 済まないことをしました。
戸田さんには、くれぐれもお詫びします。

≪戸田城聖≫ 私に詫びよと、いっているのではない!!
詫びるのは、青年たちにだ!!

≪峰首相≫ その通りです。戸田さんの方から、くれぐれも宜しくいってください。
私はいけないが、そのかわり家内と娘、それから婿で私の秘書を伺わせます。
どうかひとつ宜しくお願いいたします。

≪ナレーション≫ 戸田城聖と峰直介との交友が始まったのは、二、三年ほどまえのことであった。
もとより、二人は思想も信条も異なっていた。
しかし、これからの日本をどうするかという、建設の意気と気概は共通しており、互いに響きあうものがあった。

政治の世界にあって、権謀術数を駆使することを余儀なくされてきたであろう峰が、いかなる意図をもって、戸田と接触したかは知る由もない。
しかし戸田は一人の人間として、誠実をもって峰に対したのであります。

≪戸田城聖≫ 首相は参列しなくとも、今日は予定どおり堂々たる、式典を開催し、盛大に代理で来る家族を歓迎しようじゃないか。
この式典を広宣流布を記念する模擬的な儀式とすることには、いささかも変わりはない。
私は、今日参加した青年を、この戸田の後継者と思い、広宣流布のいっさいを託す式典にするつもりでいる。
首相がこないのだから、私が全力で、皆を激励したい。

≪ナレーション≫ 正午前、車が到着した。
峰首相の姿はなく、代理で訪れた首相夫人と娘、そして婿の河部幸太郎が降り立ったのであります。

そのころ、戸田城聖は、山本伸一に手を取られて、理境坊(りきょうぼう)の玄関に降り立った。
そこには、周囲を白い布で巻いた、車駕が、置かれていたのであります。

≪戸田城聖≫ 大きすぎて、実戦には向かぬ。戦いにならんぞ!!

≪山本伸一≫ 先生、よくわかりました。申し訳ございません。
しかし、この車駕は弟子が真心で作ったものです。どうかお乗りください。

≪ナレーション≫ 自らの命の燃え尽きんとするまで、戦いの極意と闘将の気迫を身をもって教え伝えようとする師匠の厳愛。
その師匠の体を気遣い、いたわろうとする、弟子の真心、、---- それは、師匠と弟子の、熱い生命のドラマでありました。

戸田は、伸一を見てにっこり、うなずくと、弟子たちに体を預け、車駕の中央に固定されたひじかけ椅子に座った。

車駕は静かに、ゆっくりと参道を進みはじめました。
車駕には山本伸一がぴったりと、付き添ったのであります。 

 戸田先生だ!  戸田先生だ!   青年たちの歓声が、潮騒のように広がっていった。
戸田は 青年たちに、心の中で静かに語りかけたのであります。

≪戸田城聖≫ みんな  みんな、よくやって来たな。 
私は君たちに会えて幸せだ。よく 育った。 ほんとうによく育ってくれた。
君たちとこうして会えるのも、これが最後だろう。
私がいなくなったあとは、君たちがやるのだ。広宣流布を頼むぞ!

≪ナレーション≫ 12時40分  式典は開会となった。
司会は、山本伸一であります。

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≪河部幸太郎≫ 義父(ちち)は、昨夜も、皆様方とお会いして祖国の再建について是非とも語り合いたいと申しておりましたが、実現できず、非常に残念でなりません。
義父の次の機会の参詣をお約束申しあげ、私たち一同のお詫びの言葉にかえさせていただく次第でございます。
ありがとうございました。

≪戸田城聖≫ 峰総理が「一日の法要には行けない」と言うから「そのあとはどうだ」と言ったら、「十六日なら行ける」というので、楽しみにしておったのです。
ところが、どうしてもということで東京に帰ることになった。これは仕方がないでしょう。

一国の総理といっても月給は安いものだ。
それでこき使われることは、ずいぶんこき使われるらしい。
大変な商売ですよ。
そうしたなかで、お嬢さんご夫妻と奥様をさしむけられた。
その誠意というものを、私は心から嬉しく思い、感謝しています。

私は峰先生が総理だから偉いと思った覚えはありません。
立場でなく、人間としてお付き合いしてきた。
これからもそうです。それが友人としての真心です。

妙法のもとには、皆、平等です。
そして、個人も、国家も、幸せと繁栄を得るには正法を根幹とする以外にない。
ゆえにわれわれには広宣流布を断じてなさねばならぬ使命がある。
それを今日 私は君たち青年に託しておきたい。

未来は君たちに任せる。頼むぞ広宣流布を!! 

創価学会は、宗教界の王者であります。

何も恐れるものなどない。
諸君は、その後継者であるとの自覚を忘れることなく、広布の誉れの法戦に、花の若武者として勇敢に戦い進んでもらいたい。

≪ナレーション≫ この「創価学会は、宗教界の王者であります」との宣言は、戸田先生の勝利宣言であったのであります。
戸田は青年たちを見つめながら心のなかで叫びました。

≪戸田城聖≫ ---牧口先生,広宣流布の万代の基盤を作り上げ,あとは,我が愛弟子に託しました。
妙法広布の松明が,東洋へ,世界へと、燃え広がる日も、もはや、遠くは、ございません。

≪山本伸一≫ ----  先生、青年の陣列がみごと、そろいました。
広宣流布は必ず、われら弟子の手でいたします!どうかご安心ください。

≪ナレーション≫ このお話は、戸田先生の逝去の、4月2日の、直前の出来事であり、そしてこの3月16日が、のちに、「広宣流布記念の日」となり、広宣流布を永遠不滅ならしめる、弟子たちの新たな誓いの日となった事は、皆様ご存知のとおりです。

本日は、小説「人間革命・第12巻」「後継」の章、から「3月16日のお話」を、黎明地区のオールスターキャストでお送りいたしました。

ちなみに寸劇に登場する河部幸太郎(仮名)とは、安倍普三新首相のお父さんであります。
 
以上で寸劇のコーナーを、終わります。





最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

豚汁のお話 車駕のお話 峰総理のお話 式典のお話 の 4部構成になる、長いお話です。


この寸劇人間革命の分量はおおよそ 20文字×300行です。





原稿の印刷用に空白行を省略したテキストデータを準備しました。
是非、ご活用ください。



豚汁のお話+車駕のお話+峰総理のお話+式典のお話 4部構成 20文字×300行


≪ナレーション≫ それでは寸劇人間革命のコーナーです。
時は昭和33年、西暦1958年の3月、一日7000人一ヶ月で20万人の大講堂落慶総登山の、まっ最中であります。
そこに、時の首相、峰直介(みねなおすけ)から、3月16日の日曜日に総本山に参詣したいとの、連絡が入ったのであります。そうです。本日は、「広宣流布記念の日」3月16日の、お話であります。
≪戸田城聖≫ よい機会だ。この日に、青年部を登山させようじゃないか。そして将来のために広宣流布の模擬試験、予行演習となる式典を、しようじゃないか。
伸一、僕はこの3月16日の式典を、広布の後継と責任を、君たちに託す儀式にしようと思っているのだよ。この式典の全責任は君がもつのだ。思い通りに、力いっぱいやりたまえ。
≪山本伸一≫ はい、見事な後継の、誓いの集いに、いたします。
≪ナレーション≫ こうして、山本伸一を中心に、式典の準備は、直ちに進められていきました。
「3月16日に、急遽、青年部の登山がある。」この連絡は、またたくまに、組織の隅々までいきわたったのであります。
 そして師匠の戸田は、愛する弟子たちのために、すでに一つのアイデアを計画していたのであります。
≪蒲田支部≫ 私は蒲田支部の支部幹事です。先生に、ご挨拶に来ました。「戸田先生、昨日の大講堂落慶法要まことに、おめでとうございます」
≪戸田城聖≫ おう、よく来た。待っていたのだ。じつは、君に頼みたいことがあったのだよ。じつは峰首相が、総本山に来ることになっている。その時は、青年部を登山させ、総理を迎えようと思っているんだが、朝早くから、寒い中、青年たちが、腹をすかせて、やって来るに違いない。そこでだ、この青年たちに何か温かいものを食べさせてやりたい。いろいろ考えてみたが、豚汁が、一番いいのではないかと思う。湯気のたつ豚汁は体も温まるし、栄養にもなるからな。一つ君が中心になって、この豚汁づくりをやってもらいたいのだ。できるだろうかね、、、、
≪蒲田支部≫ はぁ?はい、かしこまりました。
やらせていただきます。そうしますと、人数はいかほどになりますでしょうか。
≪戸田城聖≫ 5――6000人だろうな。
≪蒲田支部≫ ろ、ろ、ろ、6000人分の豚汁!!、んんーー、、一人一合としても、、、、んんーー、、6石(こく)ですな、、役員も50人くらいは、、、
≪戸田城聖≫ いや、こうした作業は、少数精鋭でやった方がはかどるだろう、10人もいれば十分だ。豚は2、3頭もあればいいだろう。それで足りなければ、食べられるものなら何でもかんでも、入れればいいじゃないか、は-は-は-は-は-
腹が減っては戦はできん。いかなる戦いでも、これが鉄則だよ。
≪蒲田支部≫ はい、かしこまりました。役員は蒲田支部から十人。えーと、あーでもない。こーでもない。かまどはドラム缶にディーゼルバーナーを取り付けたやつを四基、大がま四つ、小ビャクシ30、大ビャクシ2本、大しゃもじが1つ。
あーでもない。こーでもない、豚が3頭、にんじん10貫、ごぼう15貫、長ネギ15貫、ジャガイモ60貫、野菜100貫、、、味噌は四斗だる一つ、、、
≪戸田城聖≫ 参加者には、「はし」と「わん」を持ってくるように徹底するのだ。ただし、弁当は各自が持参するんだよ。そこまで面倒はみれんからな。は-は-は-は-は-は-
≪ナレーション≫ 一方、弟子の山本伸一は、師匠のために、ひとり、心を痛めていたのであります。それは戸田の体の衰弱でありました。
≪山本伸一≫ 戸田先生の気迫は、決して変わることはない。しかし歩行は、日を追って困難になってきている。なんとしても、師匠の体の負担を少しでも、減らしたいものだ。
澤田君、一つ、頼みがあるんだ。
≪澤田良一≫ 山本参謀室長、なんでしょうか。
≪山本伸一≫ 16日の式典の時に、車駕(しゃが)を用意して、そこに戸田先生に乗っていただいて、青年たちで、担ごうと思っているんだ。
≪澤田良一≫ わかりました。それでは、どのようなものを、作ればよろしいのでしょうか。
≪山本伸一≫ 戸田先生のお体の具合がとても、心配だ。ともかく、戸田先生がお疲れにならないように、して欲しい。一切は、澤田君に任せるから、よくよく、工夫して欲しい。  (二人の会話ここまで)
≪澤田良一≫ これは、、真剣に、考えねば。どうすればいいだろう、あーでもない、、こーでもない。そうだ車駕に、ひじかけいすをのせよう。こうすれば戸田先生がゆったりとすわって、足を伸ばす事もできるぞ。材料はヒノキだ。手すりを回せば、いいものができそうだ。
 あーでもない、こーでもない、図面、図面。よし、よし、鉛筆なめなめ、よしこれでいこう。
≪澤田良一≫ 参謀室長、車駕ができました。今、理境坊の中庭に運びました。
≪山本伸一≫ ありがとう。がっしりして立派にできたね。これなら、戸田先生のお体に、負担をかけなくてすむ。澤田君、制作費は、
≪澤田良一≫ それが、じつは、四万円もかかって、しまいました。
≪山本伸一≫ それは、心配しなくていい。私が払う。
≪ナレーション≫ 伸一は財布をはたいて、自分ひとりで全額を支払ったのであります。(当時は高卒初任給で1万円)
それから、伸一は、理境坊の2階に行って、戸田に、報告した。
≪山本伸一≫ 明日の式典で、先生にお乗りいただこうと、車駕を作りました。御覧いただければと思います。
≪戸田城聖≫ おう、、ん、、、、、、大きすぎる。これでは戦闘の役にはたたぬ!
≪側近幹部≫ ほんとうに大きいですね。
これじゃあ、まるで角館の祭りの山車(だし)ですね。
≪澤田良一≫ しまったーーー、どうしようーー、あの形も大きさも、私が考えたものだ、責任は私にあるのに、参謀室長ー(泣く)
≪山本伸一≫ 大丈夫だよ、澤田君。 戸田先生は、かならず乗ってくださる。弟子が真心をこめてつくったのだもの、戸田先生は、こうした一つひとつの事柄を通して、私たちを真剣に訓練して下さっているんだよ。
ありがたいことじゃないか。今のお叱りの言葉も、先生の御慈愛なんだ。その先生が私たちの真心に、お応えくださらないわけがないじゃないか。なにも、心配はいらないよ。
≪ナレーション≫ 16日、午前3時過ぎから、青年たちを乗せた、バスが次々と到着した。彼らを、待っていたのは、あの豚汁でありました。その時初めて『「はし」と「わん」を持ってくるように』と、徹底された、理由が、わかったのであります。ことに、それが、戸田先生の心尽くしのご馳走であると知ると、師匠の真心に熱いものが、込み上げるのを、覚えたのであります。 
 午前9時半、峰首相の歓迎にための、すべての準備は整った。あとは首相一行の到着を待つばかりであります。しかし、、、
≪戸田城聖≫ もしもし、戸田ですが、どなたでしょうか?
≪峰首相≫ 首相の、峰直介です。実は戸田さん。まことに申し訳ない。家族と箱根まで来ておるのですが、エート、そうそう外交上の問題が発生しまして急遽、東京に戻らねばならなくなってしまったのですよ。
≪戸田城聖≫ なに!なんですと!!
≪峰首相≫ まことに申し訳ないが、そんなわけで、私は、これから東京に引き返さなければならんのです。
≪戸田城聖≫ 峰さん、あなたの来るのを六千人の青年が、前々から準備をして、待っているのですぞ!!
青年を騙(だま)すことになるではないか!!
≪峰首相≫ 済まないことをしました。戸田さんには、くれぐれもお詫びします。
≪戸田城聖≫ 私に詫びよと、いっているのではない!!詫びるのは、青年たちにだ!!
≪峰首相≫ その通りです。戸田さんの方から、くれぐれも宜しくいってください。私はいけないが、そのかわり家内と娘、それから婿で私の秘書を伺わせます。どうかひとつ宜しくお願いいたします。
≪ナレーション≫ 戸田城聖と峰直介との交友が始まったのは、二、三年ほどまえのことであった。 もとより、二人は思想も信条も異なっていた。しかし、これからの日本をどうするかという、建設の意気と気概は共通しており、互いに響きあうものがあった。
 政治の世界にあって、権謀術数を駆使することを余儀なくされてきたであろう峰が、いかなる意図をもって、戸田と接触したかは知る由もない。しかし戸田は一人の人間として、誠実をもって峰に対したのであります。
≪戸田城聖≫ 首相は参列しなくとも、今日は予定どおり堂々たる、式典を開催し、盛大に代理で来る家族を歓迎しようじゃないか。この式典を広宣流布を記念する模擬的な儀式とすることには、いささかも変わりはない。私は、今日参加した青年を、この戸田の後継者と思い、広宣流布のいっさいを託す式典にするつもりでいる。首相がこないのだから、私が全力で、皆を激励したい。
≪ナレーション≫ 正午前、車が到着した。峰首相の姿はなく、代理で訪れた首相夫人と娘、そして婿の河部幸太郎が降り立ったのであります。
 そのころ、戸田城聖は、山本伸一に手を取られて、理境坊(りきょうぼう)の玄関に降り立った。そこには、周囲を白い布で巻いた、車駕が、置かれていたのであります。
≪戸田城聖≫ 大きすぎて、実戦には向かぬ。戦いにならんぞ!!
≪山本伸一≫ 先生、よくわかりました。申し訳ございません。しかし、この車駕は弟子が真心で作ったものです。どうかお乗りください。
≪ナレーション≫ 自らの命の燃え尽きんとするまで、戦いの極意と闘将の気迫を身をもって教え伝えようとする師匠の厳愛。その師匠の体を気遣い、いたわろうとする、弟子の真心、---- それは、師匠と弟子の、熱い生命のドラマでありました。
戸田は、伸一を見てにっこり、うなずくと、弟子たちに体を預け、車駕の中央に固定された、ひじかけ椅子に座った。 車駕は静かに、ゆっくりと参道を進みはじめました。車駕には山本伸一がぴったりと、付き添ったのであります。 
 戸田先生だ!  戸田先生だ! 青年たちの歓声が、潮騒のように広がっていった。戸田は青年たちに、心の中で静かに語りかけたのであります。
≪戸田城聖≫ みんな  みんな、よくやって来たな。私は君たちに会えて幸せだ。よく 育った。ほんとうによく育ってくれた。君たちとこうして会えるのも、これが最後だろう。私がいなくなったあとは、君たちがやるのだ。広宣流布を頼むぞ!
≪ナレーション≫ 12時40分。式典は開会となった。 司会は、山本伸一であります。
≪河部幸太郎≫ 義父(ちち)は、昨夜も、皆様方とお会いして祖国の再建について是非とも語り合いたいと申しておりましたが、実現できず、非常に残念でなりません。義父の、次の機会の参詣をお約束申しあげ、私たち一同のお詫びの言葉にかえさせていただく次第でございます。ありがとうございました。
≪戸田城聖≫ 峰総理が「一日の法要には行けない」とい言うから「そのあとはどうだ」と言ったら、「十六日なら行ける」というので、楽しみにしておったのです。
ところが、どうしてもということで東京に帰ることになった。これは仕方がないでしょう。
 一国の総理といっても月給は安いものだ。それでこき使われることは、ずいぶんこき使われるらしい。大変な商売ですよ。そうしたなかで、お嬢さんご夫妻と奥様をさしむけられた。その誠意というものを、私は心から嬉しく思い、感謝しています。私は峰先生が総理だから偉いと思った覚えはありません。立場でなく、人間としてお付き合いしてきた。これからもそうです。それが友人としての真心です。
 妙法のもとには、皆、平等です。そして、個人も、国家も、幸せと繁栄を得るには正法を根幹とする以外にない。ゆえにわれわれには広宣流布を断じてなさねばならぬ使命がある。それを今日、私は君たち青年に託しておきたい。未来は君たちに任せる。頼むぞ広宣流布を!! 
 創価学会は、宗教界の王者であります。何も恐れるものなどない。諸君は、その後継者であるとの自覚を忘れることなく、広布の誉れの法戦に、花の若武者として勇敢に戦い進んでもらいたい。
≪ナレーション≫ この「創価学会は、宗教界の王者であります」との宣言は、戸田先生の勝利宣言であったのであります。戸田は青年たちを見つめながら心のなかで叫びました。
≪戸田城聖≫ ---牧口先生,広宣流布の万代の基盤を作り上げ,あとは,我が愛弟子に託しました。妙法広布の松明が,東洋へ,世界へと、燃え広がる日も、もはや、遠くは、ございません。 ≪山本伸一≫ 先生、青年の陣列がみごと、そろいました。広宣流布は必ず、われら弟子の手でいたします!どうかご安心ください。
≪ナレーション≫ このお話は、戸田先生の逝去の、4月2日の、直前の出来事であり、そしてこの3月16日が、のちに、「広宣流布記念の日」となり、広宣流布を永遠不滅ならしめる、弟子たちの新たな誓いの日となった事は、皆様ご存知のとおりです。
本日は、小説「人間革命・第12巻」「後継」の章、から「3月16日のお話」を、黎明地区のオールスターキャストでお送りいたしました。 
ちなみに寸劇に登場する河部幸太郎(仮名)とは、安倍総理のお父さんです。
以上で寸劇のコーナーを、終わります。
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テーマ: 二次創作:小説 | ジャンル: 小説・文学

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