7月17日・かき氷のお話

 いい加減に認めたらどうだね。逮捕された者たちは、皆、君の指示でやったといっているんだよ。

 それならば、その人たちに会わせてください。そうすれば、それが嘘であることが明白になると、私は何度もいっているではありませんか。あなたたちは、私に嘘の供述をしろと、いっていることになります。
していないことを、認めるわけにはいきません。

 嘘をいえ、などといっているわけじゃない。認めるべきものは、早く認めた方がいいといっているだけだよ。君がそういう姿勢を崩さなければ、どういう事態になるか考えてみたまえ。私たちとしては、君が勤めている大東商工と学会本部を手入れし、そして、戸田会長を引っ張らなくてはならないことになる。

 なんですって。大東商工とこの事件とどういう関係があるんですか。それに、学会本部も戸田先生も、この事件には関係ないではありませんか。

 さあ、どうかね。それは、直接戸田会長に聞いてみないことにはね。


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≪ナレーションA≫ 
それでは寸劇人間革命のコーナーです。
毎日暑い日が、続いております。
ところで池田先生のお宅では、毎年、7月17日に「かき氷」を食べるのが伝統になっておるそうです。

「アイスクリームなら、毎日食べている」という方もいると思いますが、なぜ池田家では毎年7月17日に「かき氷」を食べるのでありましょうか?
本日は「7月17日・かき氷のお話」であります。

≪ナレーションB≫ 
時は昭和32年西暦1957年7月3日。
大阪府警に出頭するために、北海道から羽田空港に立ち寄った山本伸一に戸田先生が語りかけます。

≪戸田城聖≫ おお、伸一 ……
どんな難がきそいおころうが、われわれは戦う以外にないのだ。
大きな苦難が待ちかまえているが、伸一、征ってきなさい!

≪山本伸一≫ はい、征ってまいります。
それより、先生、お体の具合は……   

≪戸田城聖≫ 心配なのは君の体だ、……絶対に死ぬな。死んではならんぞ。
伸一、もしも、もしも、おまえが死ぬようなことになったら、私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒に死ぬからな。

≪ナレーションB≫ 電撃(でんげき)が、伸一の五体を貫(つらぬ)いた。伸一は答える言葉を失った。
伸一は、あふれ出そうになる涙を、じっと、こらえたのであります。

≪ナレーションA≫ 大阪府警に出頭した伸一は、この7月3日の夕刻、身に覚えのない公職選挙法違反の容疑で、不当逮捕された。
7月3日といえば、12年前の、1945年・昭和20年、軍部政府の弾圧によって投獄されていた戸田城聖が、中野の豊玉刑務所を、出獄した日である。

何たる不思議か、その同じ日の、ほぼ同じ時刻に、伸一は逮捕されたのであります。

≪ナレーションB≫ 伸一への取調べは過酷(かこく)であった。
検事二人がかりで、夕食もなしに、深夜まで尋問(じんもん)が続くこともあった。
まるで「さらし者」にするかのように、手錠をかけたまま、大阪地検の本館と別館との間を、行ったり、来たり、させたこともあったのであります。

≪戸田城聖≫ なんてことだ。ただちに手錠をはずさせろ。すぐに伸一を釈放させろ!
いいか、学会をつぶすことが狙い(ねらい)なら、この戸田を逮捕しろと、検事につたえてくれ。

かわいい弟子が捕まって、牢獄に入れられているのを、黙って見すごすことなどだんじてできぬ。
戸田は逃げも隠れもせんぞ。

(向き直って)君たちを叱(しか)りつけてすまんな。しかし牢獄というものは、入った者でないとわからんのだ。
いま伸一は、その中で、必死になって戦っているんだよ。

≪ナレーションB≫ 山本伸一はいかなる仕打ちにも、決して動じなかった。検事たちは業(ごう)を煮(に)やしていたのであります。

≪検事≫ いい加減に認めたらどうだね。
逮捕された者たちは、皆、君の指示でやったといっているんだよ。

≪山本伸一≫ それならば、その人たちに会わせてください。そうすれば、それが嘘(うそ)であることが明白になると、私は何度もいっているではありませんか。
あなたたちは、私に「嘘の供述(きょうじつ)をしろ。」と、いっていることになります。
していないことを、認めるわけにはいきません。

≪検事≫ 嘘をいえ、などといっているわけじゃない。認めるべきものは、早く認めた方がいいといっているだけだよ。
君がそういう姿勢を崩(くず)さなければ、どういう事態になるか考えてみたまえ。

私たちとしては、君が勤(つと)めている大東商工と学会本部を手入れし、そして、戸田会長を引っ張らなくてはならないことになる。

≪山本伸一≫ なんですって。大東商工とこの事件とどういう関係があるんですか。
それに、学会本部も戸田先生も、この事件には関係ないではありませんか。

≪検事≫ さあ、どうかね。それは、直接戸田会長に聞いてみないことにはね。
……もしもし、ああっ、私だよ。すぐに大東商工の手入れの準備をしてくれ。
それから、一切の帳簿を提出するようにいうんだ。大至急だ。

≪ナレーションB≫ 検事は、これだけいうと、電話を切った。そして、山本伸一を脅迫(きょうはく)するように言ったのであります。

≪検事≫ 私はやるといったら、かならずやる。なめていると、とんでもないことになるぞ。

≪ナレーションB≫ この検事の言葉は伸一の胸に突き刺さった。このときから、彼の獄中での煩悶(はんもん)が始まったのであります。

≪山本伸一≫ 体をこわし、衰弱しきった戸田先生が逮捕されれば、命を縮めることは間違いない。
絶対に、絶対に、先生を逮捕などさせてなるものか!
戸田先生あっての私の人生である。いかなることがあっても、私は先生をお護りするのだ。

では、検事の言うままに真実を捨てて、嘘をつくのか。学会の正義はどうなるのか。
それでは、自らの手で愛する学会を汚(よごす)ことに、なりはしないのか……

≪ナレーションB≫ いかりに胸はうずき、悔(くや)し涙があふれた。
髪の毛をかきむしり、独房の壁に何度も頭をぶつけた。
深い苦悩が、夜通し伸一をさいなんだのであります。

悩み抜いた果てに、伸一の心は決まった。

≪山本伸一≫ ……私が罪を背負(せお)いさえすれば、一切は収(おさ)まる。
たとえ無実の罪に問われようと、戸田先生のためなら、学会のためなら、それでよいではないか。

≪ナレーションB≫ そして、不当逮捕から2週間目の7月17日。伸一は大阪拘置所を出たのであります。

≪山本伸一≫ 先生、大変にご心配をおかけしました。申し訳ございません。

≪戸田城聖≫ それより、体は大丈夫か

≪山本伸一≫ はい、大丈夫です。負けません。
先生の出獄の日に、私は、牢に入ったのですから。

≪戸田城聖≫ 伸一君、戦いはこれからだよ。
御本尊は、すべてわかっていらっしゃる。

勝負は、裁判だ。裁判長は、必ずわかるはずだ。
裁判長に真実をわかってもらえれば、それでいいじゃないか。


≪ナレーションB≫ 戸田は、伸一をはじめ幹部たちに「かき氷」を取り寄せて振る舞った。
冷たい氷を口にしたとき、伸一には、その真心が痛いほどしみたのであります。

≪ナレーションA≫ その日の午後6時。大阪大会が開催(かいさい)されたのであります。
会場となった中之島公会堂には、たくさんの人びとが集まってきた。
場内は満員となり、あふれた会員は公会堂前の広場を埋め尽(つ)くした。

……山本参謀室長が、何をしたというのだ!
民衆の幸せを願い、社会のために行動してきた学会の、どこがいけないというのだ!

にわかに空が暗くなり、雨が降り始めたかと思うと、またたく間に激しい豪雨となり、横なぐりの風が吹き荒れた。
稲妻が黒雲を引き裂き、雷鳴(らいめい)が轟(とどろ)いた。

激しい雷雨にさらされながらも、場外を埋めた人びとは、誰ひとり立ち去ろうとするものは、いなかった。
ずぶ濡れになりながら、全身を耳にして、スピーカーから流れる声を聴き取ろうとしていたのであります。

≪山本伸一≫ このたびは、たいへんながい間、ご心配をおかけしましたが、本日正午に大御本尊様の加護を受けながら、元気いっぱいで、このように出所してまいりました。ありがとうございました。

最後は、信心しきったものが、大御本尊様を受持しきったものが、また、正しい仏法が、かならず勝つという信念でやろうではありませんか。

≪ナレーションB≫ この大阪事件の裁判が、4年半後に無実を勝ち取った、その、いきさつについては、またの寸劇人間革命に、こう、ご期待であります。

≪ナレーションA≫ 本日は『小説・人間革命』第11巻「大阪」の章などより、「7.3」そして「7月17日・かき氷のお話」を、黎明地区のオールスターキャストでおおくりいたしました。

以上で寸劇人間革命のコーナーを終わります。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

≪ナレーションA≫≪ナレーションB≫は、一人の方が、両方を読んでもかまわないと思います。
≪検事≫の役は、背景の状況などに詳しい方から読んでもらえればと、思います。 

この寸劇人間革命の分量は、おおよそ20文字×185行です。
印刷用に空白行の少ないテキストデータを準備しましたので、ぜひご活用ください。


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≪ナレーションA≫ 
それでは寸劇人間革命のコーナーです。
毎日暑い日が、続いております。
ところで池田先生のお宅では、毎年、7月17日に「かき氷」を食べるのが伝統になっておるそうです。
「アイスクリームなら、毎日食べている」という方もいると思いますが、なぜ池田家では毎年7月17日に「かき氷」を食べるのでありましょうか?
本日は「7月17日・かき氷のお話」であります。
≪ナレーションB≫ 
時は昭和32年西暦1957年7月3日。大阪府警に出頭するために、北海道から羽田空港に立ち寄った山本伸一に戸田先生が語りかけます。
≪戸田城聖≫ おお、伸一 ……
どんな難がきそいおころうが、われわれは戦う以外にないのだ。
大きな苦難が待ちかまえているが、伸一、征ってきなさい!
≪山本伸一≫ はい、征ってまいります。
それより、先生、お体の具合は……   
≪戸田城聖≫ 心配なのは君の体だ、……絶対に死ぬな。死んではならんぞ。
伸一、もしも、もしも、おまえが死ぬようなことになったら、私もすぐに駆けつけて、お前の上にうつぶして一緒に死ぬからな。
≪ナレーションB≫ 電撃(でんげき)が、伸一の五体を貫(つらぬ)いた。伸一は答える言葉を失った。伸一は、あふれ出そうになる涙を、じっと、こらえたのであります。
≪ナレーションA≫ 大阪府警に出頭した伸一は、この7月3日の夕刻、身に覚えのない公職選挙法違反の容疑で、不当逮捕された。7月3日といえば、12年前の、1945年昭和20年、軍部政府の弾圧によって投獄されていた戸田城聖が、中野の豊玉刑務所を、出獄した日である。
何たる不思議か、その同じ日の、ほぼ同じ時刻に、伸一は逮捕されたのであります。

≪ナレーションB≫ 伸一への取調べは過酷(かこく)であった。
検事二人がかりで、夕食もなしに、深夜まで尋問(じんもん)が続くこともあった。まるで「さらし者」にするかのように、手錠をかけたまま、大阪地検の本館と別館との間を、行ったり、来たり、させたこともあったのであります。
≪戸田城聖≫ なんてことだ。ただちに手錠をはずさせろ。すぐに伸一を釈放させろ!
いいか、学会をつぶすことが狙い(ねらい)なら、この戸田を逮捕しろと、検事につたえてくれ。
かわいい弟子が捕まって、牢獄に入れられているのを、黙って見すごすことなどだんじてできぬ。戸田は逃げも隠れもせんぞ。
(向き直って)君たちを叱(しか)りつけてすまんな。しかし牢獄というものは、入った者でないとわからんのだ。いま伸一は、その中で、必死になって戦っているんだよ。

≪ナレーションB≫ 山本伸一はいかなる仕打ちにも、決して動じなかった。検事たちは業(ごう)を煮(に)やしていたのであります。
≪検事≫ いい加減に認めたらどうだね。
逮捕された者たちは、皆、君の指示でやったといっているんだよ。
≪山本伸一≫ それならば、その人たちに会わせてください。そうすれば、それが嘘(うそ)であることが明白になると、私は何度もいっているではありませんか。
あなたたちは、私に「嘘の供述(きょうじつ)をしろ。」と、いっていることになります。
していないことを、認めるわけにはいきません。
≪検事≫ 嘘をいえ、などといっているわけじゃない。認めるべきものは、早く認めた方がいいといっているだけだよ。
君がそういう姿勢を崩(くず)さなければ、どういう事態になるか考えてみたまえ。
私たちとしては、君が勤(つと)めている大東商工と学会本部を手入れし、そして、戸田会長を引っ張らなくてはならないことになる。
≪山本伸一≫ なんですって。大東商工とこの事件とどういう関係があるんですか。
それに、学会本部も戸田先生も、この事件には関係ないではありませんか。
≪検事≫ さあ、どうかね。それは、直接戸田会長に聞いてみないことにはね。
……もしもし、ああっ、私だよ。すぐに大東商工の手入れの準備をしてくれ。
それから、一切の帳簿を提出するようにいうんだ。大至急だ。
≪ナレーションB≫ 検事は、これだけいうと、電話を切った。そして、山本伸一を脅迫(きょうはく)するように言ったのであります。
≪検事≫ 私はやるといったら、かならずやる。なめていると、とんでもないことになるぞ。

≪ナレーションB≫ この検事の言葉は伸一の胸に突き刺さった。このときから、彼の獄中での煩悶(はんもん)が始まったのであります。
≪山本伸一≫ 体をこわし、衰弱しきった戸田先生が逮捕されれば、命を縮めることは間違いない。絶対に、絶対に、先生を逮捕などさせてなるものか!
戸田先生あっての私の人生である。いかなることがあっても、私は先生をお護りするのだ。
では、検事の言うままに真実を捨てて、嘘をつくのか。学会の正義はどうなるのか。
それでは、自らの手で愛する学会を汚(よごす)ことに、なりはしないのか……
≪ナレーションB≫ いかりに胸はうずき、悔(くや)し涙があふれた。髪の毛をかきむしり、独房の壁に何度も頭をぶつけた。
深い苦悩が、夜通し伸一をさいなんだのであります。
悩み抜いた果てに、伸一の心は決まった。
≪山本伸一≫ ……私が罪を背負(せお)いさえすれば、一切は収(おさ)まる。たとえ無実の罪に問われようと、戸田先生のためなら、学会のためなら、それでよいではないか。

≪ナレーションB≫ そして、不当逮捕から2週間目の7月17日。伸一は大阪拘置所を出たのであります。
≪山本伸一≫ 先生、大変にご心配をおかけしました。申し訳ございません。
≪戸田城聖≫ それより、体は大丈夫か
≪山本伸一≫ はい、大丈夫です。負けません。
先生の出獄の日に、私は、牢に入ったのですから。
≪戸田城聖≫ 伸一君、戦いはこれからだよ。
御本尊は、すべてわかっていらっしゃる。
勝負は、裁判だ。裁判長は、必ずわかるはずだ。
裁判長に真実をわかってもらえれば、それでいいじゃないか。
≪ナレーションB≫ 戸田は、伸一をはじめ幹部たちに「かき氷」を取り寄せて振る舞った。
冷たい氷を口にしたとき、伸一には、その真心が痛いほどしみたのであります。

≪ナレーションA≫ その日の午後6時。大阪大会が開催(かいさい)されたのであります。会場となった中之島公会堂には、たくさんの人びとが集まってきた。場内は満員となり、あふれた会員は公会堂前の広場を埋め尽(つ)くした。
……山本参謀室長が、何をしたというのだ!
民衆の幸せを願い、社会のために行動してきた学会の、どこがいけないというのだ!
にわかに空が暗くなり、雨が降り始めたかと思うと、またたく間に激しい豪雨となり、横なぐりの風が吹き荒れた。稲妻が黒雲を引き裂き、雷鳴(らいめい)が轟(とどろ)いた。
激しい雷雨にさらされながらも、場外を埋めた人びとは、誰ひとり立ち去ろうとするものは、いなかった。ずぶ濡れになりながら、全身を耳にして、スピーカーから流れる声を聴き取ろうとしていたのであります。
≪山本伸一≫ このたびは、たいへんながい間、ご心配をおかけしましたが、本日正午に大御本尊様の加護を受けながら、元気いっぱいで、このように出所してまいりました。ありがとうございました。
最後は、信心しきったものが、大御本尊様を受持しきったものが、また、正しい仏法が、かならず勝つという信念でやろうではありませんか。
≪ナレーションB≫ この大阪事件の裁判が、4年半後に無実を勝ち取った、その、いきさつについては、またの寸劇人間革命に、こう、ご期待であります。
≪ナレーションA≫ 本日は『小説・人間革命』第11巻「大阪」の章などより、「7.3」そして「7月17日・かき氷のお話」を、黎明地区のオールスターキャストでおおくりいたしました。
以上で寸劇人間革命のコーナーを終わります。
       
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テーマ: 二次創作:小説 | ジャンル: 小説・文学

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